外科・整形外科

Orthopedics

Sick & Treatment

外科・整形外科でよくみられる
病気と当院での治療実績

膝蓋骨内方脱臼

膝関節が屈曲する際に滑車のような働きをする膝蓋骨(=パテラ)が内側に脱臼してしまう病気。トイプードル、ポメラニアン、チワワなどの小型犬に多いが、柴犬でも認められることがある。
原因には先天性(最も多い)、外傷性などがある。
診断は、触診とレントゲン検査により膝蓋骨の内方への脱臼を確認することで行う。
症状は跛行が最も多く、患肢を浮かせてケンケンするように歩く。
痛みによる跛行が認められるときは、安静と消炎鎮痛剤による治療を行う。跛行の頻度があまりにも多く生活の質(=QOL)が低下する場合は、外科手術による矯正が必要となることもある。フローリングなどの滑る床を避ける、太らせないようにするといったことに注意することで症状を抑えることもできる。

症状

・跛行(膝を曲げたままけんけんすることが多い)
・疼痛

お伝えしたいこと

保存療法(安静、鎮痛薬、サプリメント)で改善する場合もあれば、手術をしないと症状が改善しない場合もあります。手術をする場合は早めの方が良いケースが多いので、”パテラ”や”膝のお皿”について指摘されたことがある方は早めにご相談ください。

椎間板ヘルニア

脊椎と脊椎の間に存在する椎間板(コラーゲン)が脊柱管内に突出し脊髄を圧迫することで痛みや麻痺が生じる。
軟骨異栄養性犬種(ダックスフンド、トイプードル、フレンチ・ブルドッグ、ウェルシュ・コーギー、ペキニーズ、ビーグルなど)で多く発生する。
ハンセンⅠ型(急性)とハンセンⅡ型(慢性)に分類され、Ⅰ型は5歳前後、Ⅱ型は10歳前後に多いとされる。

重症度によりグレード1〜5に分類される。
 グレード1:痛みのみ。神経異常を伴わない。
 グレード2:歩行可能だが、ふらつきや痛覚の低下など神経異常を伴う。
 グレード3:歩行不可能。痛覚などの感覚はまだあり、足を動かすこと自体はできる。
 グレード4:歩行不可能。足を動かすこともできない。皮膚に対する痛覚(浅部痛覚)は消失するが骨に対する痛覚(深部痛覚)は残存している。
 グレード5:歩行不可能。完全麻痺。深部痛覚消失。排尿不可。

確定診断診断はCT脊髄造影検査やMRI画像検査で行う。
グレード1〜3であれば安静とステロイドによる内科治療で改善が認められることが多いが、グレード4〜5では外科治療が必要となる(グレード1〜3でも疼痛が重度の場合は外科手術が適応となる場合もある)。

手術は”片側椎弓切除術”による脊柱管内の減圧と突出した椎間板物質の除去を行う。当院では超音波により脊椎の掘削が可能な器械を使用しており、脊髄を傷付けることなくより安全に手術を行うことが可能である。
椎間板ヘルニアではまれに脊髄軟化症と呼ばれる急性の脊髄障害により生じる進行性の虚血性壊死が起きることがあります。 非常に強い疼痛を伴うことが特徴で、発症した場合の治療法はなく、短期間で死に至る恐ろしい病気です。

症状

・軽症:抱っこすると痛がる、キャンと鳴く、動きたがらない、震えてじっとしている
・重症:立つことができない、歩けない、後ろ足が動かない、おしっこが出ない

お伝えしたいこと

発症のリスクを抑えるには体重管理が非常に大切です!犬猫に関しても肥満は万病の元なので注意しましょう

大腿骨頭壊死症(レッグ・カルベ・ペルテス病)

大腿骨頭(大腿骨が股関節と連結する部分)における虚血性壊死により痛みが生じる病気。成長期の小型犬(特にトイプードル)に多い。
症状は跛行が最も多く、痛みの程度は様々である。軽症の場合は歩行に大きな支障がでないこともあるが、重度の痛みの場合は地面に足を着くこともできないこともある。

診断はレントゲン検査で、扁平化していたり虫食い状になった大腿骨頭が観察される。レントゲン検査で明らかに診断ができない時にはCT検査が必要となる。
治療にはまず消炎鎮痛剤を用いるが、通常それだけでは完治はせず、外科手術が適応となるケースが多い。最も多く行われているのは”大腿骨頭切除術(FHO)”という手術法で、その名の通り大腿骨頭を切除することで痛みの原因を取り除くものである。手術後は骨盤と大腿骨の連結はなくなるが、周囲の軟部組織の線維化により”偽関節”が形成されることにより歩行可能となる。経過が長く患肢の筋萎縮が進行している場合は、長期的なリハビリが必要となることもある。

症状

・跛行(後ろ足)・疼痛

お伝えしたいこと

トイプードルの子犬を飼われている方は注意しましょう。とても強い痛みの出る病気ですので、早く良くしてあげるためにも痛みに気付いたら早めにご来院ください。

前十字靭帯断裂

膝関節に存在する前十字靭帯が断裂することにより歩行機能に障害が出てしまう病気。

前十字靭帯とは、膝関節の過度な伸展を防ぎ、脛骨(スネの骨)の過度な内旋(内側に捻ること)と前方変位(前側へ滑り出すこと)を制御している靭帯である。この靭帯が断裂することによって、足を地面に着いた時に膝関節に大きな負担をかけてしまい跛行が認められるようになる。
まれに激しい運動の際に外傷性に断裂を起こすこともあるが、ほとんどが加齢性変化や変性性変化によって弱くなった靭帯に負荷がかかることによって断裂が起きる。このような症例では反対側の足も断裂を起こすリスクがあり、3年以内に85%が反対側の足でも断裂を起こしたという報告もある。また前十字靭帯断裂の半数以上の症例で半月板損傷を伴うと言われており、より強い痛みを伴う。

触診やレントゲン検査で脛骨の前方変位が確認された場合、前十字靭帯断裂の可能性が高い。膝関節の屈伸時にクリック音が聴取される場合は半月板損傷を合併している可能性が高い。関節鏡により前十字靭帯を直接観察するのが最も感度の高い検査法ではあるが、全身麻酔が必要となる。
治療法は大きく分けると保存療法と外科療法がある。
保存療法では安静と消炎鎮痛剤の投与を行う。グルコサミン、コンドロイチンなどを含むサプリメントの投与も効果的である。肥満の場合は体重管理が非常に重要である。またフローリングのような滑る床や段差を避けるなどの生活環境の改善も必要である。保存療法によって症状が改善した場合でも、変形性関節症に対するケアを生涯続けていくことが望ましい。

外科療法にはいくつかの手術法があるが、近年ではTPLO(脛骨高平部水平化骨切り術)という術式を選択することが増え、当院でも実施している。この手術法は、骨切りによって脛骨の矯正を行い、膝関節を機能的に安定化させるというものである。この手術法は従来のものと比較するとより早期に運動機能の回復が期待できると言われている。合併症として固定に使用するインプラントの破損の可能性がある。

症状

・跛行
・足を地面に着かない
・疼痛

お伝えしたいこと

軽症であれば保存療法で治すことも可能ですが、重症だと外科手術が必要となります。肥満は明らかな増悪因子となるので、日頃からの体重管理に気を付けましょう!

お問い合わせ先

動物医療センター もりやま犬と猫の病院

052-739-1299

  • 平日(火曜日を除く):9:00〜12:00、16:00〜20:00
  • 火曜日:9:00〜13:00、16:00〜20:00
  • 土日祝:9:00〜13:00、16:00〜19:00

分院:動物医療センター とよた犬と猫の病院

0565-47-1299

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