もりやまTOPICS

TOPICS

  • HOME
  • もりやまTOPICS

2022.07.17

獣医師

去勢手術、避妊手術ってした方が良いの?

こんにちは。獣医師の安部です。
2022年も半分が終わり、後半戦に突入しました。

この間獣医師になったばかりな気がするのですが…時の流れの速さに驚きを隠せません。

 

 

さて、今回は獣医師がなぜ去勢手術・避妊手術を勧めるのかについてお話をしていこうと思います。

 

当院の看板犬あんこも

うり坊も

 

わたげも

 

 



去勢手術、避妊手術をしています。

 

それでは、まずは去勢手術についてです。

 

精巣からは男性ホルモンが放出されます。
去勢手術をせずに中高齢になると男性ホルモンの影響で

・前立腺肥大
・肛門腺腫瘍
・会陰ヘルニア
の発生率が高くなります。

 

前立腺肥大がおこると良性の肥大化でも尿道が圧迫されて排尿しずらくなることがあります。

また、悪性腫瘍ができることもあります。

 

会陰ヘルニアは男性ホルモンの関係で筋肉が薄くなり、その隙間からお腹の中の脂肪や、

場合によっては腸や膀胱がお尻の方に出てきてしまう病気です。

中高齢で排便する際に異様に力むようになったり、

肛門の近くが膨れたりする場合はこの病気になっている可能性が高いです。

 

またその膨れた場所に膀胱や腸が入り込んでしまい、

締め付けられてしまうと排尿や排便が難しくなり、

場合によっては命にかかわることもあります。

 

この病気は特によく吠える子でなりやすいと言われています(一般的には未去勢中高齢のミニチュアダックスフンドがなりやすいとされています)。

 

 

また、精巣自体が腫瘍化することもあります。

精巣が陰嚢に降りてきておらず、腹腔内や皮下で止まってしまうことがあり、

これを潜在精巣や陰睾と言われます。

普通は陰嚢に降りてきて温度が上がりすぎないよう調節できるようになっていますが、

潜在精巣の場合はそれができないため特に腫瘍化しやすいです。

また、精巣の腫瘍は骨髄を抑制して、血小板や赤血球が作れなくなることがあります。

 

 

去勢をすればこれらの病気を予防できたり、発生率を下げることができます。

また、にゃんこではスプレー行動を50%程度抑えることができます。

 

 

次に避妊手術についてです。

卵巣からは女性ホルモンが放出されます。

それにより未避妊だと
・子宮蓄膿症
・乳腺腫瘍
の発生率が高くなります。

 

 

ホルモンの周期によっては免疫力が低下する時期があり、

そこで細菌感染が起こると子宮蓄膿症と言われる命に関わる病気になることがあります。

ホルモン周期が乱れる中高齢がかかりやすいですが、これは若齢でも起こりうる病気です。

 

乳腺腫瘍は初回発情までに避妊手術をすると発生率が下げられるといわれています。

 

 

また、卵巣や子宮そのものが腫瘍化することもありますが、避妊手術をすればそちらも防ぐことができます。

去勢手術、避妊手術により女の子、男の子ともに太りやすくなります。

女の子の場合は攻撃性が増すことがあります。

男の子の場合はわんこだとマウント行動をすでにとっている場合は、

その行動自体はなくなりません。

 

 

ただ、これらの影響に比べて、健康寿命を延ばしたり、

命の危機を回避するメリットの方が大きいため、獣医師は去勢手術、

避妊手術をお勧めしています。

 

 

目安としては6ヶ月を過ぎてからですが、それぞれの体格や歯の生え替わり具合をみて、

手術をする適正な時期かを判断しています。

 

当院では避妊手術での傷の大きさや痛み、

身体への負担が気になる場合は腹腔鏡手術という特殊な機械を使って手術を行うこともできます(できる子に制限があるため要相談となります)。

 

 

こちらは腹腔鏡手術中の写真です。

カメラで拡大した映像を見ながら手術を行うため、前を向いています。

 

 

 

何か気になることがある場合や去勢手術、

避妊手術について迷っている場合は気軽に獣医師にご相談くださいね。

 

 

最後に避妊手術後のわたげです。

 

黄色い術後服が似合っています。

今よりシュッとしてるね。

最近少し膨よかなわたげちゃん。

一緒に体重には気をつけようね!

 

 

Copyright©もりやま犬と猫の病院 All rights reserved.