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2023.04.15
獣医師
こんにちは。獣医師の田宮です。
冬の寒さから一転、心地よい春の陽気を感じられる季節になりましたね。
春は予防のシーズンです。当院ではフィラリア症や狂犬病、混合ワクチンなど、予防接種で来院されるオーナー様が多くなってきました。
予防接種時に定期健診をしたいと来られる方もたくさんいらっしゃいます。診察時にチェックするのが「心音」です。聴診器を胸に当てて、心臓の拍動やリズム、雑音を聴き取ります。実は心臓に雑音があり心臓病でしたなんてこともあり得るのです。
雑音があればレントゲン検査や心臓のエコー(超音波)検査をします。心臓が大きくないかな?逆流はないかな?それはどの程度なのかな?を確認します。今回は心臓病の中でもわんちゃんに特に多い僧帽弁閉鎖不全症について一緒に勉強しましょう。
心臓は全身に血液を送るポンプの役割があります。酸素の多い綺麗な血液を体に送って、酸素を使った血液を肺でまた綺麗にし、酸素の多い血液をまた全身へ送るという「循環」をしています。
ワンちゃんで多く見られる【僧帽弁閉鎖不全症】
心臓は左と右、更に上と下と4つのお部屋に分かれます。心臓にはこのお部屋の境界には血液が逆戻りしないように「弁」が付いています。
僧帽弁閉鎖不全症では左心房から左心室への弁=僧帽弁がうまく閉じなくて血液が逆流を起こしてしまうのです。
そうすると、逆流するところは、酸素の多い血液にする「肺」なので、肺に負担がかかってしまうのです。
逆流の度合い、スピードが軽度であれば問題となることはありませんが、逆流スピードが強く、早くなると肺への負担がかかり【肺水腫】という状態になり、肺がうまく膨らみません。
呼吸が荒くなったり、酸素が足りなくなり舌が真っ青になるチアノーゼを起こします。呼吸困難となり、治療のために緊急入院となることもあります。
僧帽弁閉鎖不全症では症状の程度によって心臓を収縮させたり、血圧をコントロールするような心臓薬を服用したりします。
軽度な場合は薬を飲まずに定期的に検査をし、経過をみていく子もいます。症状の程度は心臓のエコー検査を行なったり、レントゲンをとったり、血圧を測ったりすることで評価します。
症状が進んでいる場合はお薬を調節したりします。
☆画像エコーLA/Ao
この画像は心臓のエコー検査で左心房の大きさを評価しています。
こんな症状は要注意!?
①心臓の雑音があると言われた
②呼吸がおかしい
③咳をする
④疲れやすくなった
⑤寝ていることが多くなった
これらの症状は他の疾患や加齢に伴なうこともありますが、心臓病の一端である可能性もあるので、一度受診しましょう。
心臓病は普段生活している中では発見しづらい病気でもあります。最近ではヒトですが、「お医者さんで心音チェック」という心臓病の定期健診をオススメするCMも流れています。
発見のきっかけは聴診ですが、この小さな心音がとても大きな病気の治療や予防につながります。
症状がなくても一度心音をチェックしに来てください。
健康診断の際にはぜひ心音チェックをしましょう!
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