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2024.09.15
獣医師
こんにちは!
獣医師の江場です。
9月に入りまだまだ残暑が厳しい日が続いていますね。
皆さま体調を崩したりしていないでしょうか?
私は昔から暑さが苦手で、基本的に夏はインドアです。
たまに外出すると夏の暑さにやられてしまいます‥
秋の季節まであと少し、夏バテしない様に乗り切りたいと思います!
前置きはさておき、
今月は「緑内障」という病気についてお話ししようと思います。
眼の中には「眼房水」という水が溜まっています。
この眼房水は「毛様体」という場所から一定量産生される一方で、「隅角」という場所から一定のペースで排出されており、眼の張り・圧力を保っています。
この眼の圧力の事を「眼圧」といいますが、
様々な原因によって眼圧が異常に上昇することによって、
眼が内側から広げられる事で様々な症状を引き起こす病気が緑内障です。
緑内障の症状としては以下のものがあります。
・眼を閉じたままでいる
・ウインクする様に頻繁に眼をショボショボさせる
・涙が多く目の周りが濡れている
・眼の近くを触ると嫌がる、怒る
・元気・食欲がない
・目が白っぽく濁る、緑色に見える
・眼が充血している
・物にぶつかるなどする、眼が見えていない
などです。
緑内障の好発犬種は、
柴犬、シー・ズー、アメリカン・コッカー・スパニエル、トイ・プードル、チワワ、パピヨン
などが挙げられます。
緑内障になる原因は様々ありますが、
遺伝的な素因によって隅角に構造的な異常が出てしまう原発性緑内障の場合と、
白内障、ぶどう膜炎、水晶体脱臼、眼内腫瘍などから続発して起こる続発性緑内障の場合があります。
緑内障の診断は
・眼圧測定機で眼圧上昇の程度を確認
・スリットランプを使い眼の前部の評価
・眼底検査
・眼エコー検査で網膜の損傷度合いを評価する
などを行い診断します。
緑内障の治療については
点眼薬を数種類点眼し正常な眼圧を維持していく点眼治療や、眼圧下降作用のある点滴を使い緊急的に眼圧低下を行うなどの内科治療があります。
内科的治療は麻酔をかけたり手術を行う必要はありませんが、
眼圧が上昇しない様に基本的には生涯点眼を行う必要があります。
一方で外科的治療法には
目の中に医療用のチューブを設置し眼房水排出する経路を作るバイパス術、
眼の中の組織を除去しそこに医療用のシリコンボールを挿入するシリコンボール挿入術、
硝子体にゲンタマイシンという薬剤を注入し、毛様体を破壊し眼房水産生を抑える硝子体内ゲンタマイシン注入術、
眼球を全て摘出する眼球摘出術
などがあります。
どの治療法を選択するかは症状が出てからの経過時間、視覚が温存されているか、内科的な治療に対する反応があるか、などで大きく変わってきます。
緑内障は非常に痛みが強い病気で、対応が遅れれば視覚を失う可能性もあります。
普段とても大人しくお利口な子が痛みのあまり怒って噛みついてしまうほどですので、できるだけすぐに痛みを緩和し、視覚を守ってあげなければいけません。
もしも先に挙げた様な症状が見られた場合はあまり様子見したりせず、一度病院にご相談下さい。
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