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2025.06.15

獣医師

愛犬のてんかん発作、その時どうする?

こんにちは、獣医師の鈴木です。

 

「突然、ガタガタと震えて倒れてしまった…」

 

そう言って病院に駆け込んでこられる飼い主さんが少なくありません。

 

目の前で愛犬が苦しむ姿を見るのは、本当に辛く、パニックになってしまうのも無理はありません。

 

しかし、もしもの時に飼い主さんが冷静に正しく行動できるかは、愛犬のその後の生活に大きく関わってきます。

 

今回のブログでは、犬の「てんかん」について知識と具体的な対処法をお伝えします。

 

 

 

 

そもそも「てんかん」とは?

 

 

てんかんとは、脳の神経細胞が異常に興奮し、その結果として「てんかん発作」が繰り返し起こる病気です。

 

脳の電気回路が一時的にショートするようなイメージです。

 

原因によって、

 

脳に異常が見つからない「特発性てんかん」(犬で最も多い)と、

 

脳腫瘍などが原因の「症候性てんかん」

 

などに分類されます。

 

 

こちらは脳腫瘍と診断されたワンちゃんのMRI画像です。

 

 

 

てんかん発作のサインと症状発作にはいくつかの段階や種類があります。

 

 

前兆期(発作のサイン):

発作が起こる数分〜数時間前から、ソワソワ落ち着きがなくなる、異常に甘える、隠れるといった行動の変化が見られることがあります。

 

発作期(発作の真っ最中):

① 全般発作: 一般的にけいれん発作と言われるものです。意識を失って横倒しになり、手足を硬直させたり、バタつかせたりします。よだれや失禁を伴うことも多いです。

 

② 焦点発作(部分発作): 意識はあるものの、顔の一部がひきつる、かを追いかけるように空中で噛みつく(フライバイト)など、

一点をじっと見つめる、何一見して発作と分かりにくい症状が見られます。

 

 

発作後期(発作の後):

発作後、数分から数時間、意識がはっきりとしなかったり、ふらついて歩いたりすることがあります。

 

 

 

もし愛犬が発作を起こしたら?

 

 

「飼い主さんの行動リスト」

 

・落ち着いて、以下の手順で行動してください。

 

・安全を確保する。

 

・愛犬の周りにある家具や硬い物から遠ざけ、クッションなどで頭を保護しましょう。

 

・体を揺さぶったり、大声で呼びかけたりしない

外部からの刺激で発作は止まりません。

静かに見守りましょう。

 

・時間を計り、動画を撮る。

発作が何分続いたかは極めて重要な情報です。

可能であれば、発作の様子を動画で撮影してください。

発作の前兆があればスマホを準備してもらうといい

です。

的確な診断の大きな助けとなります。

 

 

 

 

普段からできる「おうちでの備え」

 

発作をコントロールし、愛犬のQOL(生活の質)を維持するには、日々のケアも投薬治療と同じくらい重要です。

 

 

 

「安心・安全な住環境を整える」

 

・留守番中でも安全なように、ぶつかると危ない家具を遠ざけ、床にクッションマットを敷く、階段にゲートを設置するなどの工夫をしましょう。

 

・ペットカメラの活用も有効です。

 

 

 

「発作の引き金を減らす工夫」

 

・過度な興奮やストレス(来客、花火など)、睡眠不足が発作を誘発する可能性があります。

 

・愛犬がリラックスできる環境と、質の良い睡眠を心がけてあげてください。

 

 

 

点鼻薬や座薬が処方されていれば、発作の前兆があるならすぐに使ってください。

 

点鼻薬は霧状になるように勢いよく押してください。

 

 

 

「いつ動物病院へ行くべきか?」

 

てんかん発作が命に関わる可能性があるため、時間外であっても直ちに病院へ連絡してください。

 

当院は24時間365日対応しています。

 

・てんかん発作が5分以上続く場合

(てんかん重積状態)

 

・短い発作を24時間以内に何度も繰り返す場合

(群発発作)

 

・発作後、いつまで経っても意識がはっきりと戻らない場合

 

 

初めての発作の場合も、必ず一度は動物病院を受診しましょう。

 

このブログが、皆さまの不安を少しでも和らげ、愛犬との穏やかな毎日を守る助けとなれば幸いです。

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