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2025.10.10
動物看護師
こんにちは
愛玩動物看護師の中村です。
朝晩が涼しくなり、最近は趣味であるロードバイクを動かしてみたり、子供と公園に遊びに行くことも増えてきました。お昼近くにお散歩される方もよく見かけるようになり、お散歩が気持ちいい季節になりましたね。
私たち人間と同じように、わんちゃんやねこちゃんにとっても季節の変わり目は体調を崩しやすい時期です。気温や湿度の変化、日照時間の変化などが、動物たちの体にもストレスを与え、病気を引き起こす要因になることがあります。
そのため、私たち人間が年に一度健康診断を受けるのと同じように、大切な家族である犬や猫にも定期的な健康診断を受けさせてあげることが、病気の早期発見と長寿につながります。
またこの10月は、夏の疲れが出やすく、寒暖差で体調を崩しやすい「健康チェックのベストシーズン」であることをご存知でしょうか?
さらに、10月13日は「じゅう(10)い(1)さん(3)」の語呂合わせで、一般社団法人Team HOPEによって制定された「ペットの健康診断の日」となります。
この機会に、なぜ「秋の健康診断」をおすすめするのか、その重要性をお伝えさせていただきます。
◯なぜ「秋」の健康診断が大切なのか
夏の暑さが落ち着いた秋は、本格的な冬を迎える前に体調を整えるための大切な準備期間です。
1. 夏の疲れのチェック
夏バテで胃腸に負担がかかっていなかったか、脱水による腎臓への影響はないかなどを確認できます。
2. 冬に備えた体調管理
持病が悪化しやすい冬に向けて、今の体の状態を把握し、必要な対策を始めることができます。
特に強くおすすめしたいのが、7歳以上のシニア期のペットの健康診断です。
7歳は人間でいうと「中高年」の始まり
犬や猫の7歳は、人間の年齢に換算すると約40代後半〜50代にあたります。
「最近寝てばかりいる」「動きが鈍くなった」
「水をよく飲むようになった」「咳が増えた」
これらは「老化のせい」で片付けられがちですが、実は病気の初期サインであるケースが非常に多いです。
言葉を話せないペットの異変に気づくには、外から見た様子だけでなく、体の中を調べる必要があります。
◯健康診断で見つかる重要なサイン
動物病院で行う主な検査では、以下のような病気の早期発見につながります。
・血液検査
腎臓病、肝臓病、糖尿病、貧血、甲状腺機能の異常など
・超音波(エコー)検査
心臓病、腹腔内の腫瘍、胆のうや膀胱の結石など
・レントゲン検査
骨や関節の異常、心臓の大きさ、肺の異常、誤飲の有無など
・尿・便検査
膀胱炎、尿石症、寄生虫の感染、腎機能の異常など
◯早期発見・早期治療のメリット
「うちの子は元気だから大丈夫」と思っていても、病気は静かに進行していることがあります。
病気のサインが検査で見つかることで、以下の大きなメリットがあります。
1. 治療の選択肢が広がる
病気が軽いうちなら、食事療法やサプリメント、内服薬などで進行を遅らせられるケースが多くあります。
2. 治療費の軽減につながる
病気が進行してからでは、大規模な手術や長期的な入院が必要になり、費用負担が大きくなることがあります。早期発見は結果的に経済的な負担を減らすことにもつながります。
3. ペットとの穏やかな時間を長く楽しめる
何より、早期に適切なケアを始めることで、ペットの苦痛を最小限に抑え、生活の質を維持した状態で、長く幸せな時間を一緒に過ごすことができます。
当院では、9月〜10月の期間で秋の健診キャンペーンを実施しております。
今年は例年と同じ3コースに加え、がんに対する血液検査と腸内環境を調べる腸内フローラ(こちらは便検査となります。)の2種類が新たに加わりました。
今回新たに加わった検査それぞれの特徴についてお話しします。
◯がんに対する血液検査
・少量の血液で検査が可能
・自覚症状が出る前のがんの初期段階で発見が出来る可能性があり、早期のがんリスクの把握に役立ちます。
健康診断と合わせてこの血液検査を行うことで潜在的ながんに対するケアのために必要なデータを見ることができます。
以下の腫瘍に対しての検査となります。
1.リンパ腫
2.血管肉腫
3.組織球性肉腫
4.骨肉腫
5.肥満細胞腫
6.悪性黒色腫(メラノーマ)
7.軟部組織肉腫
※検出感度は腫瘍の種類によってまちまちなので確実に検出が出来るわけではありません。
⚠️検査の前には4時間の絶食が必要となります。
◯腸内フローラ
腸内フローラとは?
腸内に生息している多数の細菌の集まりのことを言います。腸内細菌はその働きによって3つのグループに分かれます。
・善玉菌
健康に良い影響を与える菌です。(ビフィズス菌や乳酸菌など) 理想的なバランスは全体の2割ほど
・悪玉菌
毒素や有害物質を作り出し、体に悪い影響を与える菌。理想的なバランスは全体の1割ほど
・日和見菌
特に悪さはしないが、善玉菌と悪玉菌で優勢な方に味方をする菌。理想的なバランスは全体の7割ほど
この検査で何がわかるのか?
善玉菌や悪玉菌のバランス
菌の多様性
主な菌の種類の構成
腸内細菌の能力と働き
将来的な疾患へのリスク
などが検査結果として出てきます。
今は大丈夫でも将来のことが心配...という不安があれば是非受診していただくことをお勧めしております。
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