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2022.05.22
獣医師
こんにちは。
獣医師の北原優です。
先日仕事終わりで自宅に帰った際、いつも「夕飯はまだか?」
と言わんばかりの顔して待ち構えているはずの猫が1匹いませんでした。
名前を呼んでも出てこないし、家中を探しても見当たりませんでした。
家の窓は全部閉まっていたのでまさか攫われた⁉︎などと考えていたら、
外から猫の鳴き声が聞こえてきました。
玄関のドアを開けたらいなくなっていた猫が
猛ダッシュで家の中に入り込んできました。
どうやら自分が帰宅した時に開けたドアから外に出てしまった様でした。
もしこのまま遠くに行ってしまっていたら…
と考えたらかなりヒヤリとしました。
この様に意図せずにお家のネコちゃんがお家の外に出てしまう事は少なからずあると思います。
幸いにも最近ではマイクロチップを装着している子もかなり多くなっているので、
実際は家に帰って来れる子が増えてきていると思います。
今回のブログでは、この様な状況で我が子がお家に帰ってきた時に問題になるかもしれない事についてお話します。
①外傷
外では車などとの接触事故や高い場所からの落下による衝撃、
野良猫とのケンカなどで外傷を負ってしまう可能性があります。
交通事故によって骨盤や大腿骨などを骨折してしまうと
暫くは立っての生活が送れなかったり、神経麻痺を起こしたりする事で
その後の日常生活に支障をきたす事もあります。
また落下によって頭部を強打する事で下顎骨が割れてしまう事もあります。
口が閉じれなくなってしまい、治療で骨がくっつくまで自力でご飯が食べれなくなる事もあります。
野良猫とのケンカによって猫の白血病やエイズに感染してしまう事もあります。
白血病やエイズに罹って進行性感性になると、
口内炎や貧血、繰り返す細菌感染が同時に起こります。
どちらも感染してしまうと完治が出来ない怖い病気です。
②飢餓
外ではいつも食べているフードがあるわけでは無いので、
栄養不良になってしまうこともあります。かなり痩せってしまったり、
フードと勘違いして異物を誤食してしまう可能性もあります。
異物によっては消化管閉塞を引き起こし、
開腹して消化管を切る様な手術が必要になる事もあります。
また猫ちゃんは栄養要求量が多い生き物なので、
満足な栄養が得られないと肝臓で自分の脂肪を分解してエネルギー源とします。
そこで肝臓に脂肪が溜まりすぎると肝リピドーシスという状態になります。
③寄生虫感染
ケガなどからの感染症以外にも寄生虫などが感染してしまうこともあります。
外部寄生虫のノミが付く事で痒みや皮膚炎、脱毛を引き起こしたりノミを舐めとった事で
ノミの中にいる瓜実条虫という消化管寄生虫が感染する事もあります。
ダニが感染すると、貧血やアレルギー反応の他に
ヘモプラズマ症という赤血球を破壊する感染症が起こる事もあります。
またダニは人間に感染する感染症である重症熱性血小板減少症候群(SFTS)や
日本紅斑熱などの感染症を持っている事もあり飼い主さんにも問題を引き起こす可能性があります。
この様に外に出てしまって問題になり得る事は数多くあります。
もし外に出てしまって、家に帰ってきたという場合は外出期間に関係なく
1度病院に連れてきていただいて健康チェックや検査をさせていただく事をオススメします。
また最初に少し述べたマイクロチップがまだ入っていない子に関しては、
病院ではいつでもマイクロチップを入れることが出来ます。
当院では6月末までマイクロチップ装着キャンペーンをしています。
災害時を含めてもしもに備えて今のうちにからマイクロチップの準備をしておきましょう。
最後にウチを脱走した猫の帰ってきた安心しきった後の顔を載せておしまいにします。
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