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2025.07.14
獣医師
こんにちは!獣医師の⾼野です 。
いよいよ本格的な夏が近づいてきましたね。
朝晩のお散歩でも少し汗ばむようになり、草むらや公園で楽しそうに遊ぶわんちゃんをよく⾒かけます 。
我が家の愛猫は快適なはずのエアコンの部屋を避けて、わざわざ蒸し暑い部屋に遊びに⾏ったりします 。
猫ちゃんは砂漠由来の動物のため暑い部屋でもある程度は⼤丈夫ですが、⾒ているこっちが⼼配になってしまいます 、、、
今回は、 『SFTS』についてお話ししようと思います 。
最近、 『SFTS(重症熱⾎⼩板減少症候群) 』という病気がニュースでも取り上げられるようになりました。
これは⼈にも動物にも感染する事のある⼈獣共通感染症で、⾮常に注意が必要なウイルス感染症です 。
◯SFTS とは
SFTS は「SFTS ウイルス」に感染することで発症する病気で、主にマダニを介して感染します。
ウイルスを保有したマダニに咬まれることで⼈や動物に感染し、発熱や出⾎傾向、意識障害などを引き起こすことがあります 。
さらに近年では、感染した猫や⽝からヒトに感染したとみられる事例も報告されており、⼈獣共通感染症として注⽬されています 。
◯どんな症状が出るの?
⼈の場合:
・発熱
・嘔吐、下痢などの消化器症状
・倦怠感やリンパ節の腫れ
・⾎⼩板や⽩⾎球の減少による出⾎傾向
・神経症状
・重症化すると死亡することも(致死率 10〜30%)
動物の場合(⽝、猫) :
・発熱
・元気・⾷欲の低下
・嘔吐・下痢・⾎便
・出⾎傾向
特に猫では重症化しやすく、死亡例も多数報告されています 。
◯どうやって感染するの?
SFTS ウイルスは、主にマダニに咬まれることで感染します 。
マダニは⼭や公園、河川敷、庭先などの草むらに⽣息しています 。
そして最近問題になっているのが
「SFTS ウイルスに感染した猫や⽝から、ヒトに感染するケース」
例えば、SFTS にかかった猫の唾液や⾎液に触れることでヒトに移るリスクがあります 。
つまりペットを通じて感染する可能性があるということです 。
◯予防するには?
SFTS は現在、ヒトにも動物にも有効なワクチンが存在しません。
そのため「マダニに咬まれないようにする」ことが最⼤かつ唯⼀の予防策です 。
以下のポイントに気をつけましょう。
1. マダニ予防薬
・毎⽉のマダニ予防薬(内服タイプやスポットタイプ)を忘れずに。
当院では 3 ヶ⽉有効な便利な予防薬やマダニだけではなく、フィラリアやノミも同時に予防できるオールインワンタイプの予防薬も揃えております 。
2. 草むらに注意
・お散歩コースに草むらが多い場所は避けましょう。
・帰宅後は、被⽑のチェック・ブラッシングをして、マダニがついていないかの確認を。
3. 感染が疑われる動物に素⼿で触らない
・発熱や元気のない猫・⽝を保護した際は、できるだけ素⼿で触らないようにしましょう。
◯最後に
SFTS という名前を聞くと、怖く感じるかもしれません。
しかし、マダニ予防をしっかり⾏い、正しい知識を持っていれば⼗分に防ぐことができる病気です 。
わんちゃん、猫ちゃんの命を守ることは、同時に⼀緒に暮らす私たし⾃⾝の健康を守ることにもつながります 。
思わぬ感染リスクは⾝近に存在しています 。
そのため、⽇々のマダニ予防を確実に⾏うことが、家族の安全につながります 。
今年の夏も、暑さ対策とともに、マダニ対策もお忘れなく。
ご不明な点や不安なことがあれば、どうぞ遠慮なくご相談ください。
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