もりやまTOPICS

TOPICS

  • HOME
  • もりやまTOPICS

2022.01.16

動物看護師

ワンちゃんの下痢について

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお願い致します。

今月のブログ担当は看護師長の中村です。

 

 

今回は下痢について取り上げていきたいと思います。

寒さが増してきている今日この頃、お腹が緩くなりがちなワンちゃんが多いのではないでしょうか?

冬の下痢の原因として寒さによるお腹の冷えかと思われがちですが、人間と違ってワンちゃんは寒さに強いため冷えが原因で下痢をすることは比較的少ないとされています。

 

むしろ、冬特有の原因として散歩などの運動量が減り、消費カロリーが減少するために食事量が少なくなる、普段与えないものを与えてお腹を壊すことが多いです。

また季節とは関係ありませんが、下痢の原因として最も多いのがストレスによる下痢です。

年末年始は特に来客や人の行き来が大きく変化したり、家の大掃除・模様替えなどをしたりするかと思います。そういった身の回りの環境の変化も大きなストレスの要因です。

ストレス性の下痢の場合、その場ですぐ起こるわけではなく、少し時間が経ち緊張状態が解けてから症状が現れるため原因に気付きにくいことが多いです。下痢をした時には食べ物が原因ではない場合、ストレスがかかっていないか、生活環境を振り返ってみることが大切です。

 

下痢をした時に気をつけたいこと

○便の状態(硬さ)・におい・排便の頻度

○下痢以外の症状が出ていないか

上記2点を良く観察してみてください。

特に2つ目に関しては下痢単独の症状であれば、一時的なものと考えられますが、他の症状を併発している場合は、命に関わる恐れもあるので要注意です。(例えば下痢に加えて頻回の嘔吐をしているなど)

 

下痢をしている場合、病院に連れていくべきか様子をみるべきかで迷うことがあると思います。下痢と併せて嘔吐・元気がないなどの症状が見られた場合はすぐに病院に連れてきてください。特に子犬や高齢犬は成犬に比べ重い脱水症状を起こしてしまうため危険度がより高くなります。また血便の場合、腸の粘膜が傷ついているため、他の症状がなく緊急性がないように思われても、ポリープなどが原因の場合もありますので1度受診することをオススメします。

 

来院の際は可能であれば便をお持ちください。

当院ではまず肉眼での観察と顕微鏡を用いる直接法と浮遊法で検査を行なっています。

直接法は糞便を直接スライドガラスに薄く乗せ、顕微鏡で観察します。

便の量は少量でも問題ありません。

・便の細菌活性の様子

・細菌叢のバランス

・消化不良の有無

・細胞成分(赤血球や白血球など)

・原虫(トリコモナス、ジアルジアなど)の有無

などを調べています。

上の写真はジアルジアの虫体です。

ジアルジア症は、人獣共通の消化管内寄生虫(人にもうつる恐れがある寄生虫)です。

ジアルジア症に感染すると、主に子犬に症状が出やすく数日以内に、水っぽい、または粘り気のある下痢をするようになります。ひどい場合は、体重が落ち、発育不良となりこともあります。

 

 

浮遊法は、飽和水で糞便を溶かし比重の差を利用して寄生虫卵を検出する方法です。便の量は小指の先程度の量があれば検査は可能です。直接法では検出しにくい寄生虫卵などを検出することができます。

上の写真は浮遊法で検出できるものの1つであるコクシジウムの虫卵です。

コクシジウムは腸管に寄生する原虫で、水溶性下痢を引き起こすことがあります。こちらも主に生まれたばかりの子犬で問題になります。

コクシジウム症は日和見感染症(健康な状態で感染しても多くの場合発症しませんが、ストレスなどにより免疫力が低下した際に発症する病気)と呼ばれる疾患の1つです。子犬がストレスを受けたり、不衛生な状態におかれたりしない限り、これによって病気になることはめったにありません。感染した子犬は、軽度の下痢から粘液便や血便になることもあり、食欲を失って脱水症状を示すようになるので注意が必要です。

 

 

下痢と甘くみていると大きな病気を見逃してしまう可能性があります。

実際に下痢の症状が出たら、様子をしっかりと観察し、不安に思うことがあればなんでもご相談ください。

 

 

ちなみに私事ではございますが、去年の11月に結婚をいたしました。

今年1年もより良い年になるよう頑張っていきます。

Copyright©もりやま犬と猫の病院 All rights reserved.