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2022.03.15
獣医師
獣医師ブログ
こんにちは!獣医師の江場です。
最近は日中が暖かい日が増えてきて、ようやく春の兆しが見えてきましたね。
毎年この時期になると新人獣医師として入社した当時の気持ちを思い出します。
初心を忘れずにこれからも患者さん・オーナーさんの為に努力して参ります😊
さて、春は寄生虫予防のシーズンでもあります💉
わんちゃんに寄生する寄生虫には様々な種類がありますが、今回はその中でもフィラリア症という病気についてお話ししたいと思います。
○フィラリア症とは?
フィラリア症は犬糸状虫という寄生虫が蚊によって媒介され感染する病気です。
①まず、フィラリアに感染したわんちゃんを蚊が吸血する事で子虫である『ミクロフィラリア』というものが蚊の体内に移行します。
②次にミクロフィラリアは蚊の体内で成長し、やがて『感染幼虫』となります。
③そしてその蚊が別のわんちゃんを吸血する事で感染幼虫が皮下に移動します。
④感染後、皮下に入った感染幼虫は数日かけて大きくなり『移行幼虫』に成長します。
⑤移行幼虫は約3ヵ月程で成長し、皮下から脂肪組織に移動します。
⑥その後約6ヵ月で30cm程の大きさの成虫となり、肺動脈に寄生し幼虫を産み増殖していきます。
ちなみに体内でのフィラリアの寿命は成虫で3〜5年、ミクロフィラリアで1-2年と言われています。
○フィラリア症の症状は?
感染初期はほとんど無症状ですが数年経ってから症状が出てくる場合があります。
初期症状としては心不全と同じような慢性的な咳、元気の消失、運動するとすぐに疲れる等が挙げられます。
さらに症状が進行すると、胸水や腹水の貯留(お腹が張ってくる)、食欲不振、体重減少などの重い症状が認められます。
深刻な病態としては本来は肺動脈に寄生している成虫が右心室・右心房(心臓の右側の部屋を指します)へ突如移動し、
全身状態の急激な悪化を引き起こす『大静脈症候群』と言われる急性症状があります。
成虫が右心内に移動すると重度の三尖弁逆流による循環不全、
また赤血球が破壊され溶血しることで貧血や血色素尿、呼吸困難、低血圧を起こし突然死する危険性もあります。
末期的には肝不全や腎不全にまで発展する可能性があるため、放置すると命に関わる重大な病気です。
○予防方法は?
ここまでのお話を聞くと『命に関わるなんて怖い…😢』
とお思いかもしれませんがご安心ください、
フィラリア症は予防薬を正しく投与する事で防ぐ事ができる病気です!
予防薬にはいくつかのタイプがあります。
・おやつの様に美味しく予防ができるチュアブルタイプ
・背中に薬液を垂らすスポットタイプ
・お薬が得意な子のための錠剤タイプ
などがあります。
それぞれ利点・欠点がありますので、その子に合った物をご提案させて頂きます。
また、予防薬は投与期間・投与方法を正しく守ることも重要です!
フィラリア予防薬は移行幼虫を駆除することが出来ます。移行幼虫は約50-70日で脱皮を繰り返し大きくなるため、成虫まで大きくなる前に駆虫する事が重要です。
近年では温暖化の影響からか蚊の吸血期間が少しずつ長くなってきています。
その為、当院では『予防薬の通年投与』をおすすめしています。
通年でしっかりと予防する事でお薬を飲んでいない期間に感染するリスクが減少し、1年を通して安心して過ごす事ができます!
『種類がたくさんあってわかりづらい』
『いつから始めたらいいの?』
『ノミ・ダニも予防をしたいけどどうすれば?』
などなど、ご不明な事があればどんな事でもしっかりとご説明し、
お家のわんちゃんにぴったりのお薬をご提案させて頂きます!
年中無休・夜間対応