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2025.04.15

獣医師

猫の腎臓病と貧血について

こんにちは、獣医師の大平です。

 

冬も終わり、外に出てみると春の陽気を感じる季節となりました。

 

フィラリアや予防接種等で来院される方も多く、私も働きながら季節の移り変わりを感じております。

 

 

 

そんな予防シーズンですが、自分の子に罹りうる病気のことを知り、日々体調をチェックし、備えておくという意味での「予防」も、ワンちゃんネコちゃんと生活するうえでは重要です。

 

 

そんな観点から、今回は「腎性貧血」について書こうと思います。

 

 

腎臓病の合併症のひとつとして貧血が引き起こされることがありますが、どのような機序で起こり、どのような兆候に気をつけていけば良いのかを説明していきます。

 

 

 

 

 

腎臓病に罹患しているネコちゃんのうち、3割以上が貧血に陥っていると言われていますが、そもそも何故、腎臓病になると貧血に陥るのでしょうか?

 

 

慢性腎臓病(CKD)などで腎臓が障害を受けると、エリスロポエチン(EPO)の産生が減少します。

 

 

EPOは赤血球生成を促すホルモンで、主に腎臓で作られます。EPO不足により骨髄での赤血球産生が減少することで、貧血が発生します。

 

貧血となったネコちゃんは、なんとなく元気がなくなったり、ふらついたり、鼻の色や粘膜の色が白っぽくなったり、息が荒くなったり、様々な変化が起こることがあります。

 

貧血を見逃さないよう、当院では腎臓病の子に対して定期的な血液検査を行っていますが、もし前述したような症状が出てきた場合は診察で教えていただければと思います。しっかりと検査をして、原因を調べていきましょう。

 

 

 

ネコちゃんの腎性貧血に対して、近年新しくエポベットという注射が用いられ始めました。

 

エポベットは遺伝組換え技術をいて作製されたネコ・EPO製剤であり、投与したネコちゃんの腎性貧血の改善が期待できます。

 

従来まではヒト用のEPO製剤が使われていたため、免疫反応が起きてしまい期待通りの効果が得られなかったり、逆に体調を崩してしまう可能性がありましたが、本剤は初となるネコちゃん用のEPO製剤となるため、十分な効果が期待できます。

 

この注射の効力を十分に発揮させるためには、貧血の早期発見・早期投与がカギとなります。

 

飼い主さんには是非 貧血で起こりうる症状を理解していただき、一緒に腎臓病と戦う大切なネコちゃんを元気にして行けたらと思います。

 

 

 

私事ですが、最近新しくネコちゃんをお迎えしました。とってもヤンチャな9ヶ月のビビちゃんです。

 

大切な我が子だからこそ、罹る可能性のある病気について知り、その症状がないか細かくチェックしてあげることで、健康をサポートしていきましょう!

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