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2024.01.05

獣医師

肥大型心筋症とは

新年明けましておめでとうございます!

 

獣医師の泉對です。寒い日が続いておりますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

 

 

我が家の愛猫2匹は暖かいお部屋でぬくぬくと過ごしております。

 

ハチワレちゃんが「おさら」男の子、黒猫ちゃんが「のぞみっち」女の子です。

 

ふたりとも保護猫ちゃんです。とても可愛いですよね!

 

歴代我が家にいた子たちも紹介させてください。

 

こちらが「すりっぱ」男の子

 

 

そしてこちらが「ふるふる」男の子です。

 

やはりどちらも保護猫ちゃん、保護犬ちゃんです。

 

いやーやっぱり可愛いです!

 

 

私は名古屋に来る前は東京にいて獣医師として働く傍ら、保護団体に所属し、わんちゃんを保護してから新しい家族が見つかるまでの一時預かりをするボランティアをしておりました。

 

ふるふるはその縁で我が家に来た子で、病気をたくさん持っていて高齢だったこともあり、なかなか家族が見つからず、そのまま泉對家に迎え入れることになった子です。

 

すりっぱもふるふるも天寿を全うし、今は天国にいますが、ふたりとも心臓の病気がありました。

 

すりっぱは肥大型心筋症、ふるふるは僧帽弁閉鎖不全症という病気で、どちらもそれぞれ猫ちゃんわんちゃんで1番多い心臓の病気です。

 

前置きが長くなりましたが、今回は猫ちゃんの肥大型心筋症についてお話したいと思います。

 

僧帽弁閉鎖不全症についてはこちらをご覧下さい。心臓の機能などについても分かりやすく書いてあります!

 

ぼくの心臓わたしの心臓大丈夫??

 

肥大型心筋症のこわいところは、症状が何もなく、聴診しても心雑音が聴こえないこともしばしばあるということです。

 

無症状で心雑音のない猫ちゃんの11〜16%に認められるという報告もあります。

 

けっこう多いですよね。

 

 

◎肥大型心筋症とは

左心室の心筋が進行性に分厚くなっていく病気です。心臓は血液を全身に送り出すポンプの役割をしているのですが、心筋が厚くなると左心室の部屋が狭くなり、うまく全身へ血液を送り出すことができなくなります。

 

 

◎原因はなに?

遺伝的な要因が考えられていますが、メイン・クーン、ラグドール、アメリカンショートヘア、ノルウェージャン・フォレスト・キャット、ブリティッシュ・ショートヘアー、スコティッシュ・フォールドなどの純血種の他、短毛のMix猫にも多く、詳しくは分かっていません。

 

 

◎どんな症状が出るの?

症状がない子も多いですが、進行してくると

・疲れやすい

・咳

・開口呼吸

などが見られます。猫ちゃんは通常開口呼吸はしません。この症状が出たときはかなり苦しいときです。

 

また動脈血栓塞栓症といって、血栓が血管に詰まる病態を突然発症することもあります。

 

これは死亡率も高いこわい病態で、後ろ足の血管に詰まることが多いのですが、

・突然後ろ足が動かなくなる
・痛がる
・足先が冷たい

などの症状が出ます。

 

 

◎どんな検査をするの?

・身体検査

聴診をして心雑音など異常がないか確認します。

前述の通り、心雑音がなくても肥大型心筋症ではないとは言えません。

 

・心臓のエコー検査

心筋の厚さ、弁の動き、血流、心臓の収縮力などを見ます。肥大型心筋症の診断の上で、エコー検査は欠かせません。

 

・レントゲン検査

心臓の全体的な大きさ、肺などの評価をします。肥大型心筋症は心筋が内側に厚くなり、全体的な心臓の大きさは正常なことも多く、レントゲン検査だけでは除外できません。

 

・血液検査

その他内臓の病気がないか確認します。

高齢の猫ちゃんで多い甲状腺機能亢進症や腎臓などの病気があると、そのせいで心筋が厚くなることがあります。

また、心臓に負担がかかると上がってくる数値をみたりすることもあります。

 

・血圧測定

高血圧から心筋が厚くなることがあります。

 

・心電図検査

不整脈がないかなどをみます。

 

◎治療はなに?

肥大型心筋症を根治させる治療法は残念ながらありません。

基本的には心臓の負担をとる薬などを服用し、進行を抑えていく治療となります。

また、普段の生活に気を付けて頂くことも大切で、

・塩分の多い食事
・急な体重の増加
・急な温度や湿度の変化
・過度な運動

は心臓に普段がかかるので、避けるように注意が必要です。

食事に関しては処方食を出すこともあります。

 

 

いかがでしたでしょうか?

 

猫ちゃんの心臓の病気で1番多い肥大型心筋症ですが、症状がなく通常の検査だけでは見つけることが難しい場合もあります。

 

心臓の病気は命に直結するだけに、早期発見、早期治療がとても大切です。

 

因みにすりっぱは肥大型心筋症と甲状腺機能亢進症と両方あったのですが、内服薬を飲んで長生きすることができました!

 

わんちゃん猫ちゃんが元気に長生きできるよう、全力でサポートしたいと考えております。

 

何か気になることがあればいつでもご相談下さい!

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