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2025.10.15
獣医師
こんにちは。獣医師の飯田です。
最近は一気に気温が下がって肌寒くなりましたね。これだけ気温差が激しいと免疫力が下がり風邪など体調不良になりやすいので注意してくださいね。
そんな免疫が関わっている犬の皮膚病に犬アトピー性皮膚炎があります。
アトピーの原因は、遺伝的に細胞間脂質であるセラミドが少ないことと、ダニや花粉などの環境中のアレルゲンに対して免疫が過剰に反応してしまうことが挙げられます。
アトピーの治療としてステロイドやアポキルといった痒みや炎症を抑える内服薬の使用が基本になりますが、アトピーの原因を考えた時に本質的にはセラミドを中心とした保湿を行うことで皮膚バリア機能を補ったり、免疫異常を制御するための腸内環境を整えたりすることが大事になってきます。
今回のブログではこの腸内環境を整えることについてお話ししたいと思います。
腸は第2の脳と言われ、腸内には全身の約70%の免疫細胞が集まっており、全身の健康と深く関わっています。
免疫細胞にはウイルスや細菌に反応するT細胞だけでなく、免疫を抑える、バランスを取る細胞もいてそれを「制御性T細胞」といいます。
この制御性T細胞は先日ノーベル生理学・医学賞を受賞した坂口教授の研究として話題になりましたね!
アトピーの子はこの制御性T細胞がうまく働いていないため免疫が過剰に反応してしまうと考えられています。
ということはアトピーをコントロールするには制御性T細胞を活性化することが大切になりますが、そこに重要な役割を担っているのが短鎖脂肪酸である「酪酸」です。
つまり酪酸たくさん作るために、酪酸を産生する腸内細菌を元気する必要があります。
そのためには
① オリゴ糖
② 水溶性食物繊維
③ 難消化性でんぷん(レジスタントスターチ)
が腸内細菌のエサ(プレバイオティクス)としてとても良いものと言われています。
また良い菌を育てるためには大腸を動かすことも必要です。
それにはグルタミンや不溶性繊維を摂取するとよいのですが、食事だけでなく運動や睡眠、ストレスの軽減などもちろん大切な要素になります。
私も朝食はヨーグルトにフラクトオリゴ糖やキクイモを含むグラノーラを混ぜてバナナと一緒に食べていて、夜は野菜を多めに摂るように意識しています!!
腸活はその子その子にとっての相性があるので、これを飲めば必ず良くなるというものがあるわけではないですが、当院ではエビデンスに基づいた腸活アドバイスやサプリメントの処方を行っていますので、気になる方はぜひご相談ください。
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