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2025.06.15

獣医師

愛犬のてんかん発作、その時どうする?

こんにちは、獣医師の鈴木です。

 

「突然、ガタガタと震えて倒れてしまった…」

 

そう言って病院に駆け込んでこられる飼い主さんが少なくありません。

 

目の前で愛犬が苦しむ姿を見るのは、本当に辛く、パニックになってしまうのも無理はありません。

 

しかし、もしもの時に飼い主さんが冷静に正しく行動できるかは、愛犬のその後の生活に大きく関わってきます。

 

今回のブログでは、犬の「てんかん」について知識と具体的な対処法をお伝えします。

 

 

 

 

そもそも「てんかん」とは?

 

 

てんかんとは、脳の神経細胞が異常に興奮し、その結果として「てんかん発作」が繰り返し起こる病気です。

 

脳の電気回路が一時的にショートするようなイメージです。

 

原因によって、

 

脳に異常が見つからない「特発性てんかん」(犬で最も多い)と、

 

脳腫瘍などが原因の「症候性てんかん」

 

などに分類されます。

 

 

こちらは脳腫瘍と診断されたワンちゃんのMRI画像です。

 

 

 

てんかん発作のサインと症状発作にはいくつかの段階や種類があります。

 

 

前兆期(発作のサイン):

発作が起こる数分〜数時間前から、ソワソワ落ち着きがなくなる、異常に甘える、隠れるといった行動の変化が見られることがあります。

 

発作期(発作の真っ最中):

① 全般発作: 一般的にけいれん発作と言われるものです。意識を失って横倒しになり、手足を硬直させたり、バタつかせたりします。よだれや失禁を伴うことも多いです。

 

② 焦点発作(部分発作): 意識はあるものの、顔の一部がひきつる、かを追いかけるように空中で噛みつく(フライバイト)など、

一点をじっと見つめる、何一見して発作と分かりにくい症状が見られます。

 

 

発作後期(発作の後):

発作後、数分から数時間、意識がはっきりとしなかったり、ふらついて歩いたりすることがあります。

 

 

 

もし愛犬が発作を起こしたら?

 

 

「飼い主さんの行動リスト」

 

・落ち着いて、以下の手順で行動してください。

 

・安全を確保する。

 

・愛犬の周りにある家具や硬い物から遠ざけ、クッションなどで頭を保護しましょう。

 

・体を揺さぶったり、大声で呼びかけたりしない

外部からの刺激で発作は止まりません。

静かに見守りましょう。

 

・時間を計り、動画を撮る。

発作が何分続いたかは極めて重要な情報です。

可能であれば、発作の様子を動画で撮影してください。

発作の前兆があればスマホを準備してもらうといい

です。

的確な診断の大きな助けとなります。

 

 

 

 

普段からできる「おうちでの備え」

 

発作をコントロールし、愛犬のQOL(生活の質)を維持するには、日々のケアも投薬治療と同じくらい重要です。

 

 

 

「安心・安全な住環境を整える」

 

・留守番中でも安全なように、ぶつかると危ない家具を遠ざけ、床にクッションマットを敷く、階段にゲートを設置するなどの工夫をしましょう。

 

・ペットカメラの活用も有効です。

 

 

 

「発作の引き金を減らす工夫」

 

・過度な興奮やストレス(来客、花火など)、睡眠不足が発作を誘発する可能性があります。

 

・愛犬がリラックスできる環境と、質の良い睡眠を心がけてあげてください。

 

 

 

点鼻薬や座薬が処方されていれば、発作の前兆があるならすぐに使ってください。

 

点鼻薬は霧状になるように勢いよく押してください。

 

 

 

「いつ動物病院へ行くべきか?」

 

てんかん発作が命に関わる可能性があるため、時間外であっても直ちに病院へ連絡してください。

 

当院は24時間365日対応しています。

 

・てんかん発作が5分以上続く場合

(てんかん重積状態)

 

・短い発作を24時間以内に何度も繰り返す場合

(群発発作)

 

・発作後、いつまで経っても意識がはっきりと戻らない場合

 

 

初めての発作の場合も、必ず一度は動物病院を受診しましょう。

 

このブログが、皆さまの不安を少しでも和らげ、愛犬との穏やかな毎日を守る助けとなれば幸いです。

2025.05.15

獣医師

犬の子宮蓄膿症〜早期発見と予防が鍵〜

こんにちは。獣医師の太田です。

 

暦の上では初夏となり、陽射しも夏めいてきましたが、梅雨入り前の爽やかな風を感じながら、のびのびと愛犬とお散歩を楽しまれている方も多いのではないでしょうか。

 

 

今回は中高齢の雌犬に多い病気「子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)」についてお話ししたいと思います。

 

 

この病気は進行が早く、命に関わる救急疾患です。

 

予防法や治療法、早く気づいてあげるためのポイントについて紹介していきますので、大切な愛犬を守るためにぜひ最後までお読みください。

 

 

 

子宮蓄膿症ってどんな病気?

 

子宮蓄膿症とは、子宮の中に膿がたまる病気です。

 

避妊手術をしていない雌犬に見られ、子宮内に貯溜した細菌が産生する毒素によって重篤な症状が引き起こされます。

 

特に6歳以上での発症が多いことが知られていますが、実際には若齢で発症することもあるため、どの年齢でも気をつけなければいけない病気ということを知っておく必要があります。

 

また、子宮蓄膿症はその発症にプロジェステロンという発情後に分泌されるホルモンが深く関係していることが明らかになっています。

 

そのため発情がきた後、1〜2ヶ月以内に発症すると考えられています。

 

 

 

こんな症状に要注意!子宮蓄膿症でよくみられる症状たち

 

・元気食欲の低下

・発熱

・多飲多尿

・嘔吐

・腹部膨満

・陰部からの排膿(ただし、見られないことも多いです)

 

※外陰部からの排膿が認められる開放性子宮蓄膿症は発見が容易ですが、排膿が見られない閉鎖性子宮蓄膿症の場合には、適切な検査を行わなければ見逃されてしまうこともあります。さらに、閉鎖性の場合には、症状が急激に悪化することも多いです。

 

 

診断と治療について

 

血液検査やレントゲン、エコー検査で診断します。血液検査では白血球の上昇や炎症マーカーの上昇、レントゲンやエコー検査などの画像検査では子宮の形状や拡張の有無、内容物の見え方を確認します。

特にエコー検査は有用で、血液検査と合わせて確定診断に使用されます。

 

 

写真:拡張して液体が貯留した子宮。右では子宮内膜の肥厚が認められます。

 

 

治療の第一選択は外科手術(子宮・卵巣摘出=避妊手術)です。

 

点滴や抗生物質で状態を安定させつつ、緊急手術を行うケースが多いと言えます。

 

場合によっては子宮から膿液が漏れ、腹膜炎を起こしていることもあり、そういった時には腹腔内洗浄などの適切な処置が必要となります。

 

 

しかし、子宮蓄膿症は高齢で発症することが多いため、他にも基礎疾患を持った子が罹患する可能性もあります。

 

そういった子は、全身麻酔によるリスクが高いために手術の実施が困難な場合があります。

 

そのような場合には内科治療を行うこともあります。

 

内科治療には抗生剤やホルモン剤を使用しますが、治癒までに時間がかかることや、治癒率が手術に比べて低いこと、再発する可能性があること、などの問題点があります。

 

また、腹膜炎等の重篤な症状が起きてしまっている場合には効果が低いことが予想されるため選択が推奨されません。

 

 

 

予防法は?

 

最も確実な予防方法は、避妊手術です。避妊手術(=卵巣子宮摘出術)を行うと、そもそも子宮が無くなるため100%防げます。

 

また、早期の避妊手術は子宮蓄膿症の予防だけでなく、乳腺腫瘍の発生率を低下させたり、偽妊娠や発情に伴うストレスを無くしたりといったメリットがあります。

 

当然ですが、病気になって変化した子宮を手術で取り除くよりも、健康な状態での手術の方が安全で術後の回復も早く済みます。

 

 

 

最後に

 

今回は子宮蓄膿症について紹介させていただきました。見逃してしまったり、放置してしまうと、子宮破裂や敗血症、多臓器不全など、短期間で命を奪うこともある怖い病気です。

 

早期発見・治療で回復も早い病気ですので、様子がおかしいなと感じたら、まずは動物病院で診察を受けましょう。

 

定期的な健康チェックと、必要に応じた避妊手術の相談もおすすめします。

 

避妊手術については、それぞれのご家庭で、わんちゃんたちとの関係性や思いがあると思います。

 

ご家族のお気持ちに寄り添って、納得して選択するお手伝いをしたいと考えています。

 

 

 

現在、予防シーズンということもあり、予防と一緒に健康チェックをご希望されるオーナー様も多くいらっしゃいます。

 

避妊去勢手術についてだけでなく、なんとなく後回しにしていた疑問や心配事があれば、ぜひお聞かせください。

 

 

    

 

 

私事ですが、先日、私の地元の北海道で友人宅にお邪魔してBBQをしました。

 

その際にグレートピレニーズの子と遊んだのですが、日差しが気持ち良くとてもいいリフレッシュになりました。

 

1枚目の写真はお庭の入り口ゲートから身を乗り出して出迎えてくれている姿になります。なんとも言えない哀愁があって可愛かったです。

2025.04.15

獣医師

猫の腎臓病と貧血について

こんにちは、獣医師の大平です。

 

冬も終わり、外に出てみると春の陽気を感じる季節となりました。

 

フィラリアや予防接種等で来院される方も多く、私も働きながら季節の移り変わりを感じております。

 

 

 

そんな予防シーズンですが、自分の子に罹りうる病気のことを知り、日々体調をチェックし、備えておくという意味での「予防」も、ワンちゃんネコちゃんと生活するうえでは重要です。

 

 

そんな観点から、今回は「腎性貧血」について書こうと思います。

 

 

腎臓病の合併症のひとつとして貧血が引き起こされることがありますが、どのような機序で起こり、どのような兆候に気をつけていけば良いのかを説明していきます。

 

 

 

 

 

腎臓病に罹患しているネコちゃんのうち、3割以上が貧血に陥っていると言われていますが、そもそも何故、腎臓病になると貧血に陥るのでしょうか?

 

 

慢性腎臓病(CKD)などで腎臓が障害を受けると、エリスロポエチン(EPO)の産生が減少します。

 

 

EPOは赤血球生成を促すホルモンで、主に腎臓で作られます。EPO不足により骨髄での赤血球産生が減少することで、貧血が発生します。

 

貧血となったネコちゃんは、なんとなく元気がなくなったり、ふらついたり、鼻の色や粘膜の色が白っぽくなったり、息が荒くなったり、様々な変化が起こることがあります。

 

貧血を見逃さないよう、当院では腎臓病の子に対して定期的な血液検査を行っていますが、もし前述したような症状が出てきた場合は診察で教えていただければと思います。しっかりと検査をして、原因を調べていきましょう。

 

 

 

ネコちゃんの腎性貧血に対して、近年新しくエポベットという注射が用いられ始めました。

 

エポベットは遺伝組換え技術をいて作製されたネコ・EPO製剤であり、投与したネコちゃんの腎性貧血の改善が期待できます。

 

従来まではヒト用のEPO製剤が使われていたため、免疫反応が起きてしまい期待通りの効果が得られなかったり、逆に体調を崩してしまう可能性がありましたが、本剤は初となるネコちゃん用のEPO製剤となるため、十分な効果が期待できます。

 

この注射の効力を十分に発揮させるためには、貧血の早期発見・早期投与がカギとなります。

 

飼い主さんには是非 貧血で起こりうる症状を理解していただき、一緒に腎臓病と戦う大切なネコちゃんを元気にして行けたらと思います。

 

 

 

私事ですが、最近新しくネコちゃんをお迎えしました。とってもヤンチャな9ヶ月のビビちゃんです。

 

大切な我が子だからこそ、罹る可能性のある病気について知り、その症状がないか細かくチェックしてあげることで、健康をサポートしていきましょう!

2025.03.15

獣医師

わんちゃんの白内障について

こんにちは!獣医師の宮平です。

 

この間まですごく寒かったのに、急に昼間は暖かくなりましたね。

我が家でも愛猫が丸まらずに寝てるのを見て、春を感じています🌸

 

 

 

春といえば、わんちゃんたちの予防シーズンです💉

 

狂犬病予防接種や、フィラリアやノミダニの予防も始まるので、久しぶりに病院に行こう!という方も多いのではないでしょうか。

 

ついでだから最近の気になることを先生に質問しておこう。

 

何かないかな、、歳をとって少し目が白くなってきたような気もするな、、本犬は特に変わらない様子だけど、、

というような相談を、飼い主様から受けることが増えるんです👀

 

 

なので、今月のブログでは、わんちゃんの「白内障」についてお話したいと思います。

 

 

⭐︎白内障とは?

 

目の中にある水晶体という部分が白く濁ってしまう病気です。

水晶体は目のレンズの役割なので、水晶体が濁ると視力低下を引き起こします。

 

 

 

⭐︎原因は?

加齢性
遺伝性
外傷性
糖尿病性 など

 

 

人では加齢性が多いですが、わんちゃんは遺伝性の場合も多いと言われています。

 

 

⭐︎診断するには?

視覚確認
スリットランプ検査 など

他にも眼圧測定、眼エコー検査、眼底検査によって併発疾患がないか確認する場合もあります。

 

 

また、白内障は進行の程度によってステージ分類がされています。

散瞳(瞳孔を広げる)させる点眼の後にスリットランプを用いて判断します。

 

①初発白内障
水晶体全体の10%程度に混濁あり、視覚あり

 

②未熟白内障
水晶体の混濁が広がっているが100%ではなく、視覚あり

 

③成熟白内障
水晶体が完全に混濁し、視覚なし

 

④過熟白内障
水晶体が壊れ、中身が溶け出している状態、視覚なし

 

 

また、核硬化症でも目が白く見えることがありますが、核硬化症は加齢性の変化であり、視覚には影響しないと言われています。

 

白内障との鑑別はスリットランプで行います。

 

 

⭐︎治療は?

①初発〜②未熟白内障では定期的に検査を行い、進行スピードや視覚有無について経過観察を行います。

 

また、加齢性白内障では進行を予防する点眼薬を用いることもあります。

 

 

②未熟〜③成熟白内障では白内障手術が適応となります。

 

手術をするとなんと視覚回復も望めます👀

 

術後点眼を頑張れそうか、カラーを付けれるかなどその子の性格や、白内障以外に併発している眼疾患はないかなど目の状態によって手術適応かを判断します。

 

 

③成熟〜④過熟白内障では水晶体が原因で目の中で炎症を起こしてしまうことがあり、炎症を抑える点眼を継続的に行います。

 

 

⭐︎予防法はあるの?

残念ながら完全な予防法は存在しません。

ですので、目を日頃からしっかりチェックして、少しでも白くなってるかも…と感じたら動物病院を受診しましょう👀

 

 

また、当院ではより専門的な眼科診療を行うため定期的に眼科専門外来を開催しています。

 

専門外来ではペテモどうぶつ医療センター名古屋から、

動物眼科専門医の松浦尚哉先生が来てくださっています。

 

受診を希望される方はお気軽にご相談ください👀!

 

 

大事なわんちゃんやねこちゃんたちとたくさんアイコンタクトが取れるよう、サポートできればと思っております🐶🐱

2025.02.15

獣医師

お腹の張りにご注意を?

  • こんにちは、獣医師の内山です!

 

最近は雪も降り、寒暖差の激しい日が続いていますね。

 

体調を崩されている人も多いのではないでしょうか。

 

私自身体調を崩さないように手洗いうがいを徹底して体調管理に努めたいと思います!

 

 

 

 

さて、今回は近年見かけることが多くなった疾患、胃拡張捻転症候群についてご紹介します!

 

 

胃拡張捻転症候群(GDV)とは、文字通り「胃が拡張し捻じれている状態」のことです。

 

それによって血液循環が滞ってしまい、各臓器に血が送れず、低血圧やショック状態を引き起こします。最悪の場合、命に関わるような怖い疾患です。

 

 

では、GDVの原因、症状、治療、対策について順に説明していきます!

 

〈原因〉
・摂食や飲水後の激しい運動
・興奮
・食事の大量摂取
・早食い

 

最も多いのは、大型犬で、ご飯を食べて胃内に大量の食渣がある状態ですぐに運動をすることです。

 

大量の胃内の食渣の消化時に発生したガスにより胃が拡張し、運動した際にパンパンの胃が捻れるというのがこの疾患の代表的な原因です。

 

〈症状〉
・吐きたくても吐けない
・よだれ
・腹部の張り
・腹痛
・可視粘膜が白い

 

吐きたそうにしているが吐けない、気持ち悪そうによだれが出ている、というのがよく聞く症状です。

そういった症状全てがGDVであるわけではありませんが、特に大型犬は注意が必要です!

 

 

 

 

〈治療〉
基本的には外科手術になります。

 

胃内のガスを抜き、それだけで捻じれている状態が解除されることがありますが、ほとんどの症例では外科手術による胃捻転の整復が必要になります。

 

外科手術時のリスクとして、血がうまく循環していなかった臓器に急に血が送られるとショック状態を引き起こす可能性があります。

 

また、時間の経過具合や胃の捻転具合によって、胃が壊死していることもあるため、術中、術後の経過も慎重にみていくことが大切です。

 

 

〈対策〉
・食後の運動は控える
・食事は複数回に分けて少量ずつ与える
・早食い防止グッズを使用する

 

きちんと対策することで、病気を予防していきましょう!

 

いかがだったでしょうか。

 

今回は胃拡張捻転症候群についてでした。

 

大型犬で多い疾患ですが、中型犬でもみられることはあるので、関係ないと思わず、愛犬の様子をしっかりと見てあげてくださいね。

もしかして、、と思ったら、すぐ来院もしくはお電話で相談してください!

2025.01.15

獣医師

猫は仲良くなれない?

明けましておめでとうございます!

 

獣医師の北原優です。

 

年が明けてからは、寒波などの影響もあり寒い日が続きますが皆様のお家の子たちは体調変わりなく過ごせていますか?

 

我が家の猫は恐らく寒さからくるストレスなのか、カゼを引いて元気が無くなり、目が腫れて目ヤニが出るようになってしまいました…

 

目薬をさしてすぐに良くなってきたので今では元気よく過ごしています。

 

 

調子が悪くなった原因には恐らく寒さの以外にも原因があり…同居猫との中の悪さです。

 

今回調子を崩してしまった子は、先住猫との相性がなかなか良くないのです。

 

先住猫の子がパンチをしたり、追いかけまわしたりします。

 

この様に攻撃行動としての問題行動がおこっています。

 

 

 

問題行動というのは、2種類定義があります。

 

・飼い主さんが問題視する動物の正常行動

 

・飼い主さんが問題視する動物の異常行動

 

(異常行動:本来行わない行動、本来の行動頻度が普通と異なる行動)

 

 

この様に問題行動の中には本来猫ちゃんたちの行動特性として正常に表現されるものも含まれます。

 

 

 

猫ちゃんの行動特性としては、

 

・五感と身体能力が優れている

 

・単独で捕食行動を行う

 

・自分の排泄や身体の調子を保つための行動(維持行動)にはとてもこだわる

 

・縄張りを大事にする

 

・コミュニケーション行動もちゃんと行う

 

・行動に対して学習をする

 

ということが挙げられます。

 

 

 

猫ちゃんという生き物はどのような生き物であるのかを理解してあげることがとても大事です。

 

 

家の猫ちゃんたちの相性の悪さによく相談を受けることがありますが、上記の行動特性で生活ができない環境だと問題行動などは発生しやすくなります。

 

ただ家にいる子たちどうしではなるべく仲良く暮らしてほしいと思いますよね?

 

そのためには猫ちゃんそれぞれの縄張りをしっかり確保してあげると叶えられるかもしれません。

 

 

先ほどにもあったように猫ちゃんは単独行動をする生き物なので、それぞれの縄張りがしっかり確保されることで複数頭でも平和に生活することができます。

 

 

縄張りには必要なものがいくつかあります。

 

・食事

・水

・休息場所

・トイレ

・爪とぎ

・おもちゃ

 

が揃っているスペースがあることで猫ちゃんは自分の安全を感じます。

 

 

この生活環境を整えてもらうことで猫ちゃんが安心して暮らせるだけではなく、飼い主さんともより良い社会的な関係を築くことも可能になります。

 

もちろんこれでも上手くいかないケースもあると思います。

 

その時は病院でできる治療の提案になります。

 

 

サプリメントの処方(αカソゼピン:不安解消効果、L-トリプトファン:心の安定効果)があるものや、猫ちゃんが安心する効果のあるフェイシャルホルモンを分泌するグッズを処方させていただくこともあります。

 

 

 

 

 

それでも改善がなければ薬物療法などもあります。

 

 

動物でも薬物治療があると驚かれるかもしれませんが、抗うつ薬や抗不安薬などを使用します。

 

どんな治療が良いかはその子の性格や身体の特徴(性別、年齢や大きさ)によっても変わると思います。

 

もしお家の猫ちゃんの関係性や行動に関してお困りのことがあればお気軽にご相談していただけたらと思います。

 

2024.12.04

獣医師

漢方のお話

こんにちは。

 

獣医師の今瀬です。

 

寒さが厳しくなり、あっという間に今年も残り1ヶ月となりました。

 

冬は中医学的に、”腎(じん)”の働きが弱くなりやすい季節と言われます。

 

腎は、排泄を司る腎臓の働きだけではなく、ホルモンバランスや老化、免疫にも関与し、体を奥底から温める働きもあります。

 

冬の時期は特に腎を養生する事が重要になります。

 

体を温め、乾燥に注意し、いつも以上にしっかり睡眠をとって、元気に新しい年を迎えたいですね。

 

 

 

12月は、中医学と漢方についてのお話をしたいと思います。

 

中医学とは、古代中国の哲学や思想をもとに発展してきた医学のことで、自然とのバランスや体内のバランスを重視し、その子の体質をみながら診断、治療をしていきます。

 

✴︎老齢動物のケア

体に負担のない治療、QOL(生活の質)の向上、老化対策

 

✴︎慢性疾患へのアプローチ

低下した自己治癒力を取り戻す、体質改善

 

✴︎未病へのアプローチ

検査しても異常がないけれど気になる症状がある

 

✴︎養生(健康維持)

再発防止、健康な体づくり

 

 

このような分野が得意です。

 

 

 

★体内の陰陽バランス

 

全てのものごとは、『陰』と『陽』に分けることができます。

 

体内での『陰』の特徴は、体を潤す、冷ます、精神を落ち着かせるなど。

 

『陽』の特徴は、体を温める、循環を促す、精神を興奮させる、活発にするなど。

 

 

『陰が不足』すると、

 

潤いがなくなり乾燥しやすくなる、ほてりなど熱感を感じやすくなります。

 

『陰が過剰』になると、

 

強い冷え症状が現れます。

 

『陽が不足』すると、

 

体を温めることができず冷えを感じやすくなります。

 

『陽が過剰』になると、

 

強い興奮があらわれ、赤みがでる、のぼせなど熱感を感じやすくなります。

 

 

 

『陰陽のバランス』が取れている状態=『健康』です。

 

 

 

四診(目でみる、触れてみる、聞いたり嗅いでみる、症状やライフスタイルを聞いて情報を得る)から、それぞれの臓腑(臓器)について、気血津液の『陰陽バランス』を読み取り、診断し、治療を進めます。

 

 

★気血津液

 

『気』とは、生命活動のエネルギー(動かす、温める、守る、維持する、代謝する)を指します。

 

『血』とは、血液(栄養する、精神を安定させる)を指します。

 

『津液』とは、血液以外の体液(潤す、血液を補給する)を指します。

 

 

漢方は、そのそれぞれについて、足らないものを補ったり、過剰なものを取り除いたりする働きのある生薬を組み合わせて処方されます。

 

老齢のわんちゃんやねこちゃんで、検査では異常がなかったけれど、歳のせいか、なんとなく元気や食欲がなく、よぼよぼしている…足が冷える…

 

ということはよくありますよね。

 

年を重ねるほど、『気』は消耗し、減っていくものですので、『気』が足りない場合は『気』を補う作用のある漢方を使うと、体調を管理しやすくなるかもしれません。

 

 

当院でこのような時によく使う動物用の漢方に『源気』があります。

 

紅景天(ロゼア)

 

人参

 

擬黒多刺蟻

 

五加皮

 

ヨクイニン(ハトムギ)

 

という生薬が調合されていて、元気回復、体力増強、免疫調節、老化防止などが期待できます!

 

 

 

その他、症状に応じて、さまざまな漢方がありますので、気になる方は是非、お問い合わせ下さい!

 

 

2024.11.15

獣医師

ねこちゃんの膀胱炎

ハロウィンから半月、朝夕の気温が下がってきましたね。

 

こんにちは獣医師の大澤です。

 

 

季節の変わり目は、動物たちも人と同様にストレスを感じていると言われています。

 

 

ストレスを感じるとどうなるか…?

 

 

それぞれの個体にもよりますが、やはり体の中の弱りやすい部分に症状がでることがあるみたいです。

 

 

特に、ネコちゃんでは膀胱炎になりやすいということが知られています。

 

 

今回はそのネコちゃんの膀胱炎について少しご紹介したいと思います。

 

 

 

 

 

膀胱炎は原因によって種類が分けることができます。

 

 

細菌の感染による膀胱炎

 

結石が関与している膀胱炎

 

原因のメカニズムがはっきりわかっていない特発性膀胱炎

 

 

というものもあります。

 

 

 

みっつめの特発性膀胱炎とは、ストレス要因が関与しているといわれています。

 

 

そのため春先や秋といった、気圧、温度、湿度の変化のある季節の変わり目に発症することがあります。

 

 

その症状とは…

 

 

●トイレに何度も行く

 

●排尿姿勢をとるが、尿が出ない。出るとしてもポタポタと少量のみ

 

●血尿がでる

 

●排尿後に痛そうな声をあげる

 

 

といったものなどです。

 

 

病気の治療はストレス要因への対処となりますのでお薬やご飯、サプリメントやおうちのおトイレ環境の見直し…

 

といったことまで考えなければなりません。

 

 

おトイレの見直し!?そうなんです!

 

 

動物たち、特にネコちゃんは自分のおトイレに対してはとてもこだわりがあります!

 

 

清潔で、静かで、広々として、ほかの動物からの視線を感じないようなおトイレがよいとされています。

 

 

とはいえ、ネコちゃんをトイレのたびに広大な鳥取砂丘まで連れて行ってあげる訳にはいきませんので、どういったものが好ましいのか?という指標を一部ご紹介します。

 

 

 

 

 

◯静かで人通りのないところへの設置

 

◯飲食する場所から離れているところへの設置

 

◯戸建ての場合、各階へ設置

 

◯少なくともネコちゃんの頭数+1個のトイレを、各々違う場所に設置

 

◯その子の好みに合わせた砂の使用すること

 

◯用を足したらすぐに清掃

 

◯こまめな砂の交換

 

 

…書き出すと、なかなか細かいですね!?

 

 

しかし、当の本人(猫)にとっては大事なことですので、いちど見直ししてみることをオススメします。

 

 

 

 

因みに↑こちら当家のおはぎちゃんは、おトイレは大と小で分けて使用しています。

 

 

何故か小は砂ではせずに、フカフカした毛布のようなところでしたくなっちゃうようなんですね〜。

 

 

個体差、といっても色々あります。

 

 

おうちのこにとってのベストトイレットを、どうか探してあげてください!

2024.10.12

獣医師

健診の秋

皆様こんにちは

 

獣医師の田宮です。

 

10月に入り、外気温が大分涼しくなってきました。

 

私の愛犬も快適にお散歩に行けるような気候になり嬉しさのあまり可愛いしっぽがうずきます。

 

 

さて、秋といえば【健診の秋】です

 

今年も10月は秋の健康診断キャンペーンを承っております。

 

 

「わんちゃん、ねこちゃんの1年は、人間に例えると約4年」と言われています。

 

一見健康そうに見えても気付いた時には病態が進行していることもあります。

 

動物たちは体調を隠す習性がありますので、【定期的な健診】が大切です!

 

血液検査をして腎臓や肝臓など内臓の数値をみたり、レントゲンで臓器の大きさをみたりすることで病気を探ります。

 

また、糞便検査をすることで腸内細菌のバランスを確認すること、尿検査で腎臓の機能の評価や尿路結石などがないかを見ることができます。

 

 

 

そんな健康診断の中で【血液で心臓を評価する】ことのできる心臓マーカーを紹介したいと思います。

 

心臓負荷の刺激により主に心臓で産生されるペプチドホルモン【ANP/BNP】を測定することにより、心臓に負荷がかかっているかを調べることができます。

 

 

例えば咳や呼吸不全などの呼吸器系症状がみられる際に、心臓が原因か、それ以外の原因かを判定することができます。

 

ヒトでは心疾患の重症度に相関して上昇するとされ、重症度の把握、心疾患の除外診断、治療効果の判定などに利用されています。

 

ワンちゃんねこちゃんでも、この数値を測定することで心臓病が見つかることがあるのです。

 

 

実際の心臓の評価はレントゲンやエコー検査などですが、健診でこの数値が上がる場合は心機能評価を進めていくことができますので、早期発見に繋がります。

 

 

こんな症状は要注意!?

 

①心臓の雑音があると言われた

 

②呼吸がおかしい

 

③咳をする

 

④疲れやすくなった

 

⑤寝ていることが多くなった

 

これらの症状は他の疾患や加齢に伴なうこともありますが、心臓病の一端である可能性もあるので、一度受診しましょう。
 

心臓病は普段生活している中では発見しづらい病気でもあります。

 

 

最近ではヒトですが、「お医者さんで心音チェック」という心臓病の定期健診をオススメするCMも流れています。

 

発見のきっかけは聴診ですが、この小さな心音がとても大きな病気の治療や予防につながります。

 

 

秋の健康診断は10月末まで実施しております。

 

 

この機会に健康診断を受けてみてはいかがでしょうか?

 

 

ワンちゃんの心臓病についてはこちらをお読みください

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ぼくの心臓わたしの心臓大丈夫??

 

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【🍁秋の健康診断キャンペーンのお知らせ🍁】

2024.09.15

獣医師

緑内障について

こんにちは!

 

獣医師の江場です。

 

9月に入りまだまだ残暑が厳しい日が続いていますね。

 

皆さま体調を崩したりしていないでしょうか?

 

私は昔から暑さが苦手で、基本的に夏はインドアです。

 

たまに外出すると夏の暑さにやられてしまいます‥

 

秋の季節まであと少し、夏バテしない様に乗り切りたいと思います!

 

 

 

前置きはさておき、
今月は「緑内障」という病気についてお話ししようと思います。

 

 

眼の中には「眼房水」という水が溜まっています。

 

 

この眼房水は「毛様体」という場所から一定量産生される一方で、「隅角」という場所から一定のペースで排出されており、眼の張り・圧力を保っています。

 

 

この眼の圧力の事を「眼圧」といいますが、

 

様々な原因によって眼圧が異常に上昇することによって、

眼が内側から広げられる事で様々な症状を引き起こす病気が緑内障です。

 

 

 

緑内障の症状としては以下のものがあります。

 

・眼を閉じたままでいる

・ウインクする様に頻繁に眼をショボショボさせる

・涙が多く目の周りが濡れている

・眼の近くを触ると嫌がる、怒る

・元気・食欲がない

・目が白っぽく濁る、緑色に見える

・眼が充血している

・物にぶつかるなどする、眼が見えていない

 

などです。

 

 

緑内障の好発犬種は、

柴犬、シー・ズー、アメリカン・コッカー・スパニエル、トイ・プードル、チワワ、パピヨン

などが挙げられます。

 

 

 

緑内障になる原因は様々ありますが、

 

遺伝的な素因によって隅角に構造的な異常が出てしまう原発性緑内障の場合と、

 

白内障、ぶどう膜炎、水晶体脱臼、眼内腫瘍などから続発して起こる続発性緑内障の場合があります。

 

緑内障の診断は

・眼圧測定機で眼圧上昇の程度を確認

・スリットランプを使い眼の前部の評価

・眼底検査

・眼エコー検査で網膜の損傷度合いを評価する

 

などを行い診断します。

 

 

緑内障の治療については

 

点眼薬を数種類点眼し正常な眼圧を維持していく点眼治療や、眼圧下降作用のある点滴を使い緊急的に眼圧低下を行うなどの内科治療があります。

 

内科的治療は麻酔をかけたり手術を行う必要はありませんが、

眼圧が上昇しない様に基本的には生涯点眼を行う必要があります。

 

 

一方で外科的治療法には

 

目の中に医療用のチューブを設置し眼房水排出する経路を作るバイパス術、

 

眼の中の組織を除去しそこに医療用のシリコンボールを挿入するシリコンボール挿入術、

 

硝子体にゲンタマイシンという薬剤を注入し、毛様体を破壊し眼房水産生を抑える硝子体内ゲンタマイシン注入術、

 

眼球を全て摘出する眼球摘出術

 

 

などがあります。

 

 

どの治療法を選択するかは症状が出てからの経過時間、視覚が温存されているか、内科的な治療に対する反応があるか、などで大きく変わってきます。

 

 

緑内障は非常に痛みが強い病気で、対応が遅れれば視覚を失う可能性もあります。

 

 

普段とても大人しくお利口な子が痛みのあまり怒って噛みついてしまうほどですので、できるだけすぐに痛みを緩和し、視覚を守ってあげなければいけません。

 

 

もしも先に挙げた様な症状が見られた場合はあまり様子見したりせず、一度病院にご相談下さい。

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