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2025.01.15
獣医師
明けましておめでとうございます!
獣医師の北原優です。
年が明けてからは、寒波などの影響もあり寒い日が続きますが皆様のお家の子たちは体調変わりなく過ごせていますか?
我が家の猫は恐らく寒さからくるストレスなのか、カゼを引いて元気が無くなり、目が腫れて目ヤニが出るようになってしまいました…
目薬をさしてすぐに良くなってきたので今では元気よく過ごしています。

調子が悪くなった原因には恐らく寒さの以外にも原因があり…同居猫との中の悪さです。
今回調子を崩してしまった子は、先住猫との相性がなかなか良くないのです。
先住猫の子がパンチをしたり、追いかけまわしたりします。
この様に攻撃行動としての問題行動がおこっています。
問題行動というのは、2種類定義があります。
・飼い主さんが問題視する動物の正常行動
・飼い主さんが問題視する動物の異常行動
(異常行動:本来行わない行動、本来の行動頻度が普通と異なる行動)
この様に問題行動の中には本来猫ちゃんたちの行動特性として正常に表現されるものも含まれます。
猫ちゃんの行動特性としては、
・五感と身体能力が優れている
・単独で捕食行動を行う
・自分の排泄や身体の調子を保つための行動(維持行動)にはとてもこだわる
・縄張りを大事にする
・コミュニケーション行動もちゃんと行う
・行動に対して学習をする
ということが挙げられます。
猫ちゃんという生き物はどのような生き物であるのかを理解してあげることがとても大事です。
家の猫ちゃんたちの相性の悪さによく相談を受けることがありますが、上記の行動特性で生活ができない環境だと問題行動などは発生しやすくなります。
ただ家にいる子たちどうしではなるべく仲良く暮らしてほしいと思いますよね?
そのためには猫ちゃんそれぞれの縄張りをしっかり確保してあげると叶えられるかもしれません。
先ほどにもあったように猫ちゃんは単独行動をする生き物なので、それぞれの縄張りがしっかり確保されることで複数頭でも平和に生活することができます。
縄張りには必要なものがいくつかあります。
・食事
・水
・休息場所
・トイレ
・爪とぎ
・おもちゃ
が揃っているスペースがあることで猫ちゃんは自分の安全を感じます。
この生活環境を整えてもらうことで猫ちゃんが安心して暮らせるだけではなく、飼い主さんともより良い社会的な関係を築くことも可能になります。
もちろんこれでも上手くいかないケースもあると思います。
その時は病院でできる治療の提案になります。
サプリメントの処方(αカソゼピン:不安解消効果、L-トリプトファン:心の安定効果)があるものや、猫ちゃんが安心する効果のあるフェイシャルホルモンを分泌するグッズを処方させていただくこともあります。

それでも改善がなければ薬物療法などもあります。
動物でも薬物治療があると驚かれるかもしれませんが、抗うつ薬や抗不安薬などを使用します。
どんな治療が良いかはその子の性格や身体の特徴(性別、年齢や大きさ)によっても変わると思います。
もしお家の猫ちゃんの関係性や行動に関してお困りのことがあればお気軽にご相談していただけたらと思います。

2024.12.04
獣医師
こんにちは。
獣医師の今瀬です。
寒さが厳しくなり、あっという間に今年も残り1ヶ月となりました。
冬は中医学的に、”腎(じん)”の働きが弱くなりやすい季節と言われます。
腎は、排泄を司る腎臓の働きだけではなく、ホルモンバランスや老化、免疫にも関与し、体を奥底から温める働きもあります。
冬の時期は特に腎を養生する事が重要になります。
体を温め、乾燥に注意し、いつも以上にしっかり睡眠をとって、元気に新しい年を迎えたいですね。
12月は、中医学と漢方についてのお話をしたいと思います。
中医学とは、古代中国の哲学や思想をもとに発展してきた医学のことで、自然とのバランスや体内のバランスを重視し、その子の体質をみながら診断、治療をしていきます。
✴︎老齢動物のケア
体に負担のない治療、QOL(生活の質)の向上、老化対策
✴︎慢性疾患へのアプローチ
低下した自己治癒力を取り戻す、体質改善
✴︎未病へのアプローチ
検査しても異常がないけれど気になる症状がある
✴︎養生(健康維持)
再発防止、健康な体づくり
このような分野が得意です。
★体内の陰陽バランス
全てのものごとは、『陰』と『陽』に分けることができます。
体内での『陰』の特徴は、体を潤す、冷ます、精神を落ち着かせるなど。
『陽』の特徴は、体を温める、循環を促す、精神を興奮させる、活発にするなど。
『陰が不足』すると、
潤いがなくなり乾燥しやすくなる、ほてりなど熱感を感じやすくなります。
『陰が過剰』になると、
強い冷え症状が現れます。
『陽が不足』すると、
体を温めることができず冷えを感じやすくなります。
『陽が過剰』になると、
強い興奮があらわれ、赤みがでる、のぼせなど熱感を感じやすくなります。
『陰陽のバランス』が取れている状態=『健康』です。
四診(目でみる、触れてみる、聞いたり嗅いでみる、症状やライフスタイルを聞いて情報を得る)から、それぞれの臓腑(臓器)について、気血津液の『陰陽バランス』を読み取り、診断し、治療を進めます。
★気血津液
『気』とは、生命活動のエネルギー(動かす、温める、守る、維持する、代謝する)を指します。
『血』とは、血液(栄養する、精神を安定させる)を指します。
『津液』とは、血液以外の体液(潤す、血液を補給する)を指します。
漢方は、そのそれぞれについて、足らないものを補ったり、過剰なものを取り除いたりする働きのある生薬を組み合わせて処方されます。
老齢のわんちゃんやねこちゃんで、検査では異常がなかったけれど、歳のせいか、なんとなく元気や食欲がなく、よぼよぼしている…足が冷える…
ということはよくありますよね。
年を重ねるほど、『気』は消耗し、減っていくものですので、『気』が足りない場合は『気』を補う作用のある漢方を使うと、体調を管理しやすくなるかもしれません。
当院でこのような時によく使う動物用の漢方に『源気』があります。
紅景天(ロゼア)
人参
擬黒多刺蟻
五加皮
ヨクイニン(ハトムギ)
という生薬が調合されていて、元気回復、体力増強、免疫調節、老化防止などが期待できます!
その他、症状に応じて、さまざまな漢方がありますので、気になる方は是非、お問い合わせ下さい!

2024.11.15
獣医師
ハロウィンから半月、朝夕の気温が下がってきましたね。
こんにちは獣医師の大澤です。
季節の変わり目は、動物たちも人と同様にストレスを感じていると言われています。
ストレスを感じるとどうなるか…?
それぞれの個体にもよりますが、やはり体の中の弱りやすい部分に症状がでることがあるみたいです。
特に、ネコちゃんでは膀胱炎になりやすいということが知られています。
今回はそのネコちゃんの膀胱炎について少しご紹介したいと思います。
膀胱炎は原因によって種類が分けることができます。
細菌の感染による膀胱炎
結石が関与している膀胱炎
原因のメカニズムがはっきりわかっていない特発性膀胱炎
というものもあります。
みっつめの特発性膀胱炎とは、ストレス要因が関与しているといわれています。
そのため春先や秋といった、気圧、温度、湿度の変化のある季節の変わり目に発症することがあります。
その症状とは…
●トイレに何度も行く
●排尿姿勢をとるが、尿が出ない。出るとしてもポタポタと少量のみ
●血尿がでる
●排尿後に痛そうな声をあげる
といったものなどです。
病気の治療はストレス要因への対処となりますのでお薬やご飯、サプリメントやおうちのおトイレ環境の見直し…
といったことまで考えなければなりません。
おトイレの見直し!?そうなんです!
動物たち、特にネコちゃんは自分のおトイレに対してはとてもこだわりがあります!
清潔で、静かで、広々として、ほかの動物からの視線を感じないようなおトイレがよいとされています。
とはいえ、ネコちゃんをトイレのたびに広大な鳥取砂丘まで連れて行ってあげる訳にはいきませんので、どういったものが好ましいのか?という指標を一部ご紹介します。

◯静かで人通りのないところへの設置
◯飲食する場所から離れているところへの設置
◯戸建ての場合、各階へ設置
◯少なくともネコちゃんの頭数+1個のトイレを、各々違う場所に設置
◯その子の好みに合わせた砂の使用すること
◯用を足したらすぐに清掃
◯こまめな砂の交換
…書き出すと、なかなか細かいですね!?
しかし、当の本人(猫)にとっては大事なことですので、いちど見直ししてみることをオススメします。

因みに↑こちら当家のおはぎちゃんは、おトイレは大と小で分けて使用しています。
何故か小は砂ではせずに、フカフカした毛布のようなところでしたくなっちゃうようなんですね〜。
個体差、といっても色々あります。
おうちのこにとってのベストトイレットを、どうか探してあげてください!
2024.10.12
獣医師
皆様こんにちは
獣医師の田宮です。
10月に入り、外気温が大分涼しくなってきました。
私の愛犬も快適にお散歩に行けるような気候になり嬉しさのあまり可愛いしっぽがうずきます。

さて、秋といえば【健診の秋】です
今年も10月は秋の健康診断キャンペーンを承っております。

「わんちゃん、ねこちゃんの1年は、人間に例えると約4年」と言われています。
一見健康そうに見えても気付いた時には病態が進行していることもあります。
動物たちは体調を隠す習性がありますので、【定期的な健診】が大切です!
血液検査をして腎臓や肝臓など内臓の数値をみたり、レントゲンで臓器の大きさをみたりすることで病気を探ります。
また、糞便検査をすることで腸内細菌のバランスを確認すること、尿検査で腎臓の機能の評価や尿路結石などがないかを見ることができます。
そんな健康診断の中で【血液で心臓を評価する】ことのできる心臓マーカーを紹介したいと思います。
心臓負荷の刺激により主に心臓で産生されるペプチドホルモン【ANP/BNP】を測定することにより、心臓に負荷がかかっているかを調べることができます。

例えば咳や呼吸不全などの呼吸器系症状がみられる際に、心臓が原因か、それ以外の原因かを判定することができます。
ヒトでは心疾患の重症度に相関して上昇するとされ、重症度の把握、心疾患の除外診断、治療効果の判定などに利用されています。
ワンちゃんねこちゃんでも、この数値を測定することで心臓病が見つかることがあるのです。
実際の心臓の評価はレントゲンやエコー検査などですが、健診でこの数値が上がる場合は心機能評価を進めていくことができますので、早期発見に繋がります。
こんな症状は要注意!?
①心臓の雑音があると言われた
②呼吸がおかしい
③咳をする
④疲れやすくなった
⑤寝ていることが多くなった
これらの症状は他の疾患や加齢に伴なうこともありますが、心臓病の一端である可能性もあるので、一度受診しましょう。
心臓病は普段生活している中では発見しづらい病気でもあります。
最近ではヒトですが、「お医者さんで心音チェック」という心臓病の定期健診をオススメするCMも流れています。
発見のきっかけは聴診ですが、この小さな心音がとても大きな病気の治療や予防につながります。
秋の健康診断は10月末まで実施しております。
この機会に健康診断を受けてみてはいかがでしょうか?
ワンちゃんの心臓病についてはこちらをお読みください
↓↓↓
秋の健康診断の詳細はこちらをご覧ください
↓↓↓
2024.09.15
獣医師
こんにちは!
獣医師の江場です。
9月に入りまだまだ残暑が厳しい日が続いていますね。
皆さま体調を崩したりしていないでしょうか?
私は昔から暑さが苦手で、基本的に夏はインドアです。
たまに外出すると夏の暑さにやられてしまいます‥
秋の季節まであと少し、夏バテしない様に乗り切りたいと思います!
前置きはさておき、
今月は「緑内障」という病気についてお話ししようと思います。
眼の中には「眼房水」という水が溜まっています。
この眼房水は「毛様体」という場所から一定量産生される一方で、「隅角」という場所から一定のペースで排出されており、眼の張り・圧力を保っています。
この眼の圧力の事を「眼圧」といいますが、
様々な原因によって眼圧が異常に上昇することによって、
眼が内側から広げられる事で様々な症状を引き起こす病気が緑内障です。

緑内障の症状としては以下のものがあります。
・眼を閉じたままでいる
・ウインクする様に頻繁に眼をショボショボさせる
・涙が多く目の周りが濡れている
・眼の近くを触ると嫌がる、怒る
・元気・食欲がない
・目が白っぽく濁る、緑色に見える
・眼が充血している
・物にぶつかるなどする、眼が見えていない
などです。
緑内障の好発犬種は、
柴犬、シー・ズー、アメリカン・コッカー・スパニエル、トイ・プードル、チワワ、パピヨン
などが挙げられます。
緑内障になる原因は様々ありますが、
遺伝的な素因によって隅角に構造的な異常が出てしまう原発性緑内障の場合と、
白内障、ぶどう膜炎、水晶体脱臼、眼内腫瘍などから続発して起こる続発性緑内障の場合があります。
緑内障の診断は
・眼圧測定機で眼圧上昇の程度を確認
・スリットランプを使い眼の前部の評価
・眼底検査
・眼エコー検査で網膜の損傷度合いを評価する
などを行い診断します。
緑内障の治療については
点眼薬を数種類点眼し正常な眼圧を維持していく点眼治療や、眼圧下降作用のある点滴を使い緊急的に眼圧低下を行うなどの内科治療があります。
内科的治療は麻酔をかけたり手術を行う必要はありませんが、
眼圧が上昇しない様に基本的には生涯点眼を行う必要があります。
一方で外科的治療法には
目の中に医療用のチューブを設置し眼房水排出する経路を作るバイパス術、
眼の中の組織を除去しそこに医療用のシリコンボールを挿入するシリコンボール挿入術、
硝子体にゲンタマイシンという薬剤を注入し、毛様体を破壊し眼房水産生を抑える硝子体内ゲンタマイシン注入術、
眼球を全て摘出する眼球摘出術
などがあります。
どの治療法を選択するかは症状が出てからの経過時間、視覚が温存されているか、内科的な治療に対する反応があるか、などで大きく変わってきます。
緑内障は非常に痛みが強い病気で、対応が遅れれば視覚を失う可能性もあります。
普段とても大人しくお利口な子が痛みのあまり怒って噛みついてしまうほどですので、できるだけすぐに痛みを緩和し、視覚を守ってあげなければいけません。
もしも先に挙げた様な症状が見られた場合はあまり様子見したりせず、一度病院にご相談下さい。
2024.08.15
獣医師
皆さんこんにちは。
パリオリンピックを見ていて「無課金おじさん」の渋さにやられてしまった獣医師の三浦です。
将来あんなクールなおじさんになりたいものですね
(もうすでにおじさんなのではないかという声はスルーします)。
さて、私は当院で整形外科診療を担当することが多いので、様々な疾患に出会うことがあります。
小型犬に多い「膝蓋骨脱臼」、大型犬に多い「股関節形成不全」、ダックスフンドに多い「椎間板ヘルニア」などです。
その中で今回お話しようと思うのが、犬の「骨折」についてです。
動物病院に来るわんちゃんの骨折のほとんどが、「超小型犬(トイプードル、ポメラニアンなど)」の「前足」の骨折です。


「抱っこしていたら飛び降りてしまった」
「ソファからジャンプして着地に失敗した」
このような理由が最も多いです。
しかし中には…
「遊んでいたら足を滑らせてしまった」
たったこれだけの事でも骨折をしてしまうケースもあります。
最近は大人でも2kgにも満たないとても小さなわんちゃんも目にしますが、こういった子達は特に骨折リスクが高くなります。
もちろん個体差はありますが、超小型犬の骨の太さは5mmもありません。
成長期ともなると骨もまだ柔らかい部分があります。
大人の膝の高さから落ちただけで骨折してしまうこともあるくらいです。
そこで、骨折を防ぐためにお家で気を付けていただきたい事を何点かお伝えします。
まず第一に、小さなわんちゃんを抱っこする時はとても繊細なものを扱うよう細心の注意を払ってください。
可愛さのあまり勢いよく抱き上げてしまいそうにもなるかも知れませんが、わんちゃんが驚いて暴れてしまい落下してしまうこともあります。
またあまり高く抱き上げるとそれも怖がって暴れてしまうことがあるので、床に膝を着いて抱っこするくらいがいいかもしれません。
お子様がいらっしゃるご家庭では、子犬を一人で抱っこさせないよう必ず保護者の方が見守ってあげてください。
命の大切さを学ぶために小さなわんちゃんを抱っこすることはとても重要なことだと思います。
ただそれをする時は、簡単に怪我をしてしまうから優しく優しくしてあげるよう、大人から教えてあげてください。

しかしたとえどんなに気を付けていても、それでも骨折が起きてしまうこともあります。
そんな時はすぐに当院へ駆けつけてください。
当院では様々整形外科疾患に対応が出来るよう設備を整えております。
怪我をしてしまった動物を治し、また元気に走り回れるようにするためスタッフ一同全力でサポートいたします!

2024.07.15
獣医師
こんにちは。獣医師の飯田です。
梅雨も明けて、外に出ると汗が滴ってくる暑さになってきましたね。。
そんな暑い夏の皮膚病として多いのが「マラセチア皮膚炎」です。
皆さま「マラセチア」というのをご存知でしょうか。
マラセチアは皮膚表面に生息するひょうたん(ピーナッツ)のような形をした酵母様真菌(カビ)です。

※顕微鏡画像
カビといっても人や他のわんちゃんに感染ったりはしません。
普段は皮膚の常在菌として脂肪酸などの皮脂を栄養源にして生活をしていますが、
さまざまな原因でマラセチアの栄養源である皮脂が多い状態が続いたり、
皮膚の状態が悪くなったりするとマラセチアの異常増殖が起こり、
皮膚炎を引き起こしてしまいます。
これをマラセチア皮膚炎といい、皮膚の赤みや痒み、ベタつきが出て、独特なにおいを発します。


夏のような高温多湿な気候、
コッカー・スパニエル、シーズー、ビーグルなどの脂の多い犬種
に出やすいですが、
他にも犬アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、甲状腺機能低下症などを基礎疾患として持っていると
マラセチア皮膚炎も発症しやすくなります。
治療にはマラセチア自体を倒すことも大事ですが、栄養源である脂のコントロールが最も重要になってきますので、
・食事管理、サプリ、運動、ストレス緩和などで脂の分泌量を減らす
・クレンジング、シャンプー、保湿などのスキンケアで脂を落とす
・薬で皮膚の炎症を抑える
・基礎疾患があればそちらのコントロールをしっかり行う
この辺りがポイントになってきます。
皮膚病はひとりひとり状態や背景が異なりますので、
同じマラセチア皮膚炎だからといって同じ治療をしても治らないことがよくあります。
それぞれのわんちゃん、ご家族に合わせた治療、ケアが必要になってきますので、
診察の時にご相談ください。
また、マラセチア皮膚炎はシャンプーを含めたスキンケアが重要になりますので、
ご自宅でシャンプーが難しい子は、ケアセンターで行なっているメディカルスキンケアコースも
ぜひ利用していただくと良いと思います!

夏に多い皮膚病をコントロールしながら、一緒に快適な夏を過ごしていきましょう!
2024.06.13
獣医師
こんにちは!獣医師の鈴木です。
暑い時期になってきましたね。6月なのに30℃を超える日も・・・
20年以上愛知県に住んでいますが毎年暑くなるばかりです。
暑い時期に注意してもらいたいのが熱中症です。
人はもちろん熱中症になるリスクはわんちゃんねこちゃんにも同じ様にありますし、人よりもリスクが高い場合もあるので今回は熱中症についてお話したいと思います。
わんちゃんねこちゃんは人と違って汗を出す汗腺が肉球にしかありません。
そのため体温調節にはハアハアとした早い呼吸や涼しい場所や風に当たることで体を冷やし体温を調節しています。
この体温調節機能のうち呼吸で体温を下げることが苦手なのは、フレンチブルドッグやパグなどの短頭種と呼ばれる種類です。
もともと体に対する気管が細く、呼吸するときにいびきをかくような短頭種気道症候群の場合はさらに注意が必要です。
涼しい場所や風にあたることで体温を調節することが苦手なのが長毛のわんちゃんねこちゃんです。
もともと寒い地方に対応した体毛を持ち、長い毛が断熱材として機能してしまいます。
体外に熱を逃がし体温を下げることが苦手です。
追加で注意が必要なのは肥満体系や興奮しやすい場合です。
皮下脂肪が断熱材の役割をしてしまうのと、首周りの脂肪が呼吸をしづらくしてしまうので注意が必要です。
興奮してしまうと体温が上昇するため注意が必要です。
実際に熱中症になってしまった場合には、
・ハアハアと辛そうに呼吸をする
・体温が高くなる
・元気がなくなる
・吐いて下痢してしまう
より重症の場合は、
・発作を起こす
・意識がなくなる
・チアノーゼになる(舌や粘膜が紫色になる)
などの症状がみられます。
もしこのような症状を認めた場合はすぐに病院に連れてきてもらうようにしてください。
病院に着くまでの間に体温を下げるために、涼しい場所や濡れタオルなどで体温を下げ、意識がしっかりしていて水が飲めそうなら水を飲ませてあげてください。
意識がなくぐったりしている場合は無理に水を飲ませる必要はありません。
病院に着いたらすぐに体温測定や血液検査などをさせてもらい点滴や体温を下げてあげることで熱中症の治療をしていきます。
ただ、熱中症になってから治療するのではなく、予防が一番重要になってきます!
暑くなりはじめの時に注意が必要です。
夏本番ではもちろん暑さ対策をしていたがいていると思いますが、今の時期くらいから熱中症の注意が必要になります。
熱中症が発生しやすく注意するべき3つの状況をご紹介します。
① 散歩に行くのは朝早い時間や日の入りから1時間以上経過してから行くようにしましょう
散歩で興奮しやすいわんちゃんは人通りや、ほかのわんちゃんの少ないルートを選ぶことや散歩の時間も短めにしてあげることも必要です。
散歩前にアスファルトの温度を触って直接確かめてから行くことをおすすめします。
② 短時間でも車内で待たせるのもやめましょう
人でも赤ちゃんの死亡事故も発生しており、犬猫でも注意が必要です。
エアコンをつけていない車内は日光によって急激に温度が上昇します。
なるべく一緒にいてあげるようにしてください。
③ 家の中でも注意が必要です
日光のあたる部屋や閉め切った風通しの悪い部屋では気温が上昇しやすく熱中症のリスクがあります。
ゲージも直接日光に当たらないようにしましょう。また水が自由に飲めない状況も脱水から熱中症へつながるので水飲み場を複数個用意してあげましょう。
熱中症は命にかかわる危険な病気です。しっかりと暑さ対策をしていきましょう。
最後に我が家のにゃんこを紹介して終わりとさせていただきます。

隠れているつもりで頭だけかくしているシルクちゃんです。
2024.04.30
獣医師
こんにちは、獣医師の太田理仁です。
すっかり暖かくなり、新年度が始まりましたね。
当院にも新しいスタッフが加わりましたので、より充実した獣医療とホスピタリティを提供できるようしていきたいと思います。
さて、春といえばお花見や入学式など華やかで明るいイベントが思い浮かびますが、
環境が変わることや人の集まる行事で気をつけたいのが感染症です。
新型コロナウイルス感染症は私たちにウイルスの存在と恐ろしさをあらためて認識させましたが、
動物たちに も私たちと同様にウイルス感染症が存在しています。
猫に多い感染症に、いわゆる猫風邪があります。
今回は、猫風邪としてまとめられている感染症のうち、特に関与が大きいと考えられている
「猫ヘルペスウイルス感染症」についてお話ししたいと思います。
◎猫風邪(猫ヘルペスウイルス感染症)とは
猫ヘルペスウルス感染症は呼吸器症状を中心とする感染症ですが、原因となるウイルス は猫ヘルペス 1 型(Feline herpesvirus-1 : FHV-1)です。
ネコ科動物に強い感染力をもち、感染猫の鼻水や涙、涎などが直接またはエアロゾルが口 や鼻、粘膜に接触することで容易に成立します。
食器やトイレの共有、グルーミング、寝 床の共有なども問題となります。
このウイルスのやっかいなところは、一度感染が成立すると、神経核内に潜伏する性質があり、
治癒した後であってもその体内に潜み続けることから一生涯キャリアとなってしまうという点です。
ヘルペスウイルスのこのような性質は人間のヘルペスウイルス感染症 でも同様のため、ご存じの方もいるのではないでしょうか。
◎猫風邪の症状
猫ヘルペスウイルス感染症に罹患した猫ちゃんは、風邪に類似した様々な症状が認められます。
通常 3~4 日間の間に以下のような症状が認められることがあります。
・くしゃみ、鼻水:猫風邪の最も代表的な症状です。鼻の周りや目の下に鼻水がつくこと もあります。
・発熱:通常猫ちゃんの体温は 38~39°C程度ですが、猫風邪の場合にはそれ以上に上がる ことがあります。
・口腔内潰瘍:口の中に潰瘍やただれができることがあります。
・食欲不振:症状が進行すると、口内の痛みや不快感が原因で食事を拒否することがあります。
・目の炎症:目の周りに炎症や赤みがみられることがあります。結膜炎や角膜潰瘍が発生 することもあります。
これらの症状は通常はその後 1 週間程度で回復しますが、特に免疫力が不完全な幼猫ち ゃんや持病のある子、そして老猫さんは重症化するリスクが高く、脱水や衰弱が激しいと 生命に危険を及ぼす可能性もあります。
◎猫風邪の診断
猫ヘルペスウイルス感染症の確定診断には一般的には猫の鼻や口の分泌物からの検体 採取や血液検査を行い、
PCR 検査や抗体検査を実施します。
これにより、ヘルペスウイルスの DNA や抗体の存在が確認されます。
ただしこれらの検査には時間を要するため、症状や臨床兆候に基づいて獣医師が診断を行うこともあります。
◎猫風邪の治療
猫ヘルペスウイルス感染症の治療は、免疫力を高めていくことと、症状の軽減を目的とし た対症療法が治療方針となります。
免疫力を高めるために、インターフェロンや L-リジンの投与はよく行われる治療法です。
対症療法としては、ご飯や水が摂取できない場合には点滴や痛み止め、栄養補助食品や栄養剤を使用します。
鼻水やくしゃみなどの呼吸器症状がみられる場合にはネブライジングを行い、結膜炎や角膜炎などがみられる場合にはインターフェロン入りの点眼薬を使用したりもします。
また、細菌などによる二次感染が症状を悪化させてしまうことがあるため、抗生物質が処方されることもあります。
◎猫風邪を予防するためには
猫風邪(猫ヘルペスウイルス感染症)の予防には、いくつかの方法があります。
その 1. ワクチン接種 猫ヘルペスウイルス感染症の予防には、ワクチン接種が効果的です。
猫ちゃんのコアワク チンプログラムには、猫ヘルペスウイルス(FHV)に対するワクチンが含まれています。
しかしながら、ワクチンを接種していても猫ヘルペスウイルスの感染や発症を完全に防ぐことは難しく、
あくまで重症化を防ぐためのものと言えます。
かかりつけの獣医師と相談 して、その猫ちゃんの年齢や環境に応じた最適なワクチンスケジュールを確立しましょう。
その 2. ストレス管理 ストレスは免疫系を弱める要因の一つです。
適切な環境を提供し、猫ちゃんのストレスを 軽減することで、感染症に対する抵抗力を高めることができます。
その 3. 衛生管理 猫ちゃんの飼育環境を清潔に保つことも重要です。
特に複数の猫ちゃんが同じ環境で生活 している場合は、定期的な清掃と消毒が必要です。
食器の定期的な洗浄や、トイレの清掃も忘れずに行いましょう。
また、温度計や湿度計を設置して環境をモニタリングするのも おすすめです。
その 4. 栄養バランスの良い食事 適切な栄養を摂取することは、猫の免疫機能を維持するために重要です。
高品質のキャッ トフードを与え、栄養バランスを保つように心がけましょう。
その 5. 定期的な健康チェック 獣医師の定期的な診察を受けることも予防策の一つです。
獣医師が猫の健康状態を確認し、 必要に応じて予防措置を講じることができます。
◎まとめ
季節の変わり目や、体調不良で免疫が下がった時に再発したり、感染を広げてしまう可能性のある
猫ヘルペスウイルス感染症(猫風邪)について今回はお話しさせていただきました。
前述のように、この感染症はワクチンを接種していても完全には感染を防ぐことは難しいのですが、
症状の軽減や発症期間を短くすることはできます。
そのためこのブログを読んでくださった猫ちゃんオーナー様にはしっかりとワクチン接種を行っていただき、
万が一感染してしまった場合や症状の再発があった場合には、早めに動物病院へ の来院をお願いします。
最後に、北海道の祖父母の家で可愛がっている猫のベルちゃんの画像でお別れしたいと思います。 叔母の愛猫なのですが、人懐っこくてとってもお利口さんです。獣医師として、ベルちゃんの健康も精一杯守っていきたいと思っています。![]()
皆さんも、愛猫ちゃんともども健康に春の陽 気を楽しんでお過ごしくださいね!
何かご心配事があれば、いつでもお気軽にご 来院して相談ください。
2024.04.03
獣医師
こんにちは!獣医師の大平です。
時の流れは早いもので、桜が咲く季節となりました。
あたたかくなってきて、絶好のお散歩日和な日も多く、院内犬のぼうちゃんもウキウキで外をお散歩しております。

このブログを読んでくださっている方々にとって かけがえのない存在である子たちへより良い医療を提供できるよう、今年度も引き続き全力で頑張りますので、これからもよろしくお願いします!
さて、今回のブログのテーマは椎間板ヘルニアについてです。
人にもある病気ですから、この記事を読んでくださってる方々もご存知かもしれません。
椎間板ヘルニアとは、大まかに言うと老化や刺激によって椎間板と呼ばれる部位が変形し、脊椎の神経を圧迫してしまうことで起こる病気です。
ヒトとは異なり、ワンチャンは「腰が痛い!」と話すことが出来ませんが、その代わりに以下のような症状で訴えかけてくれます。
・ふるえ
・抱くとキャンと鳴く
・食欲不振
・元気の低下
どれも心配になるような症状ばかりですね。。。
椎間板ヘルニアはその重症度がグレードという形で分かれており、グレードに応じて治療方針も変わってきます。
グレード1 : 痛みのみ。問題なく歩けるが、触ると痛がり、ふるえる。
グレード2 : 痛みもあり、ふらつく。
グレード3 : 自力で起きることができない。
グレード4 : 力が入らず、自力で排尿ができない。
グレード5 : 痛みを感じなくなってしまう。
また、診断は基本的に除外診断(似たような症状を起こす病気を否定して、最終的に診断する)となります。
似たような症状を起こす病気には、
・胃腸炎・膵炎
・外傷
・骨折
・脱臼
・尿道閉塞
・椎間板脊椎炎
・馬尾症候群
などがあります。これらをしっかりと血液検査、レントゲン検査、エコー検査で除外し、診断となります。
治療には薬による内科療法と手術による外科療法があります。
基本的にグレード2までは内科療法により90%以上の子が良くなってくれますから、例外もありますが、お薬での治療をすすめています。
グレード3以降になると内科治療には反応しにくくなってしまうため、精密検査(CT・MRIによる確定診断)後に手術を提案させていただく場合が多いです。
また、治療中は基本的にケージの中で絶対安静を推奨しています。
内服薬には基本的に消炎鎮痛剤を処方します。
鎮痛剤にも様々な種類があり、中には痛みを抑える漢方薬やサプリメント、鍼灸治療もありますから、その子にあった薬を選択して処方させていただきます。

椎間板ヘルニアには、髄核と呼ばれる部位が石灰化し突出することで神経を圧迫するハンセン1型と、老化により椎間板が変性し脊髄を圧迫するハンセン2型があります。
ハンセン1型の椎間板ヘルニアはミニチュアダックスフンド、トイプードル、ビーグル、シーズー、ペギニーズ、パピヨン、ラブラドールレトリバー、ジャーマンシェパード、ロットワイヤーに多いと言われています。
ハンセン2型は、1型にかかりにくいワンちゃんに多いと言われています。
1型は、激しい運動を控えめにしたり、肥満にならないよう食事管理したり、階段の昇り降りを辞めさせたりすることで予防可能です。
また、これらは脱臼や骨折、内分泌疾患などの予防にも繋がりますので、是非始めてみてください!
では最後に、身を寄せ合っている可愛いうちの子の写真で締めさせていただきます。笑
左の子がルナくん、右の子がソルくんです。

実家にも両親と暮らしている愛猫がふたりおりますので、また次の機会にご紹介します!
皆様の最愛の子達が、1日でも長く 健やかで幸せな毎日を過ごせますように。
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